AI猫動画のその後|作り方とAI表示・権利の注意
2024年に話題になったAI猫動画は、その後どうなったのでしょうか。YouTube・Instagram・TikTokのAI表示と収益化のルールの変化、日本で作って出すときの権利と表示の注意点を、2026年10月の時点でまとめます。

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?この記事はこんな方に
- AI猫の動画をSNSで見て、自分でも作ってみたいと思っている方
- 会社や店のアカウントで、AI動画を出してよいか迷っている方
- AI動画で収益化を考えていて、規約の変化が気になる方
!この記事でわかること
- 2024年に話題になったAI猫動画が、2026年10月までにどうなったか
- YouTube・Instagram・TikTokのAI表示と収益化のルール
- 日本でAI猫動画を作って出すときの、権利と表示の注意点

こんにちは、ヒカリです。
2024年8月、AIで作った猫の動画がインターネットで大きな話題になりました。それから2年たち、その流行はどうなったのでしょう。この記事では、当時の報道、その後の流れ、各SNSのルールの変化を順番にお伝えします。最後に、いまAI猫の動画を作って出すときの権利と表示の注意点も、一緒に確認しましょうね。
2024年のAI猫動画とは
私たちは2024年8月、米ワシントン・ポストの報道をもとに、AIで作った猫の動画がSNSで広がっていることを紹介しました。当時の記事に書いた内容は、次のとおりです。
猫が主人公の短い物語を、画像生成AIと音楽で作る。セリフはなく、ヒット曲の歌詞を「にゃー」に置き換えた音楽がつく。そのため言葉が通じなくても伝わり、世界中で見られる。これが2024年の話でした。当時の記事は、子どもに不安を与えかねない暗い内容の動画があることにも触れています。
ヒカリちゃんのまとめ2024年は、静止画をつないだ猫の物語が「新しい流行」として紹介された時期でした。このあと2年で何が起きたのかを、次の章で見ていきますね。
その後の2年間:流行から「AIスロップ」への警戒へ
AI猫の動画は一過性の流行で終わらず、量が一気に増えました。同時に、増えすぎた低品質なAI動画が「AIスロップ」と呼ばれ、各社の対策が進みました。主な出来事を並べます。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年12月 | 日本のメディアが、YouTubeやTikTokで本物そっくりの「ニセ動物動画」が増えていると紹介(FRIDAYデジタル、12月22日)。Kling AIで作られた猫の動画なども例にあがった。 |
| 2025年7月15日 | YouTubeが、収益化のルール「繰り返しの多いコンテンツ」を「量産型のコンテンツ」(inauthentic content)に改称。大量生産されたコンテンツも対象だと明確にした。 |
| 2025年8月 | 英ガーディアンの報道を、日本のinnovaTopiaが紹介(8月19日)。人間のような体を持つ猫が出る約30秒のAIドラマが、TikTokやInstagramで数百万回再生されていると伝えた。韓国のCJ ENMは6人のチームが5か月で、AIアニメ「Cat Biggie」を30話つくった。楽曲の著作権への懸念も指摘された。 |
| 2025年9月 | スペインのコルドバ大学の研究チームが、学術誌『Conservation Biology』で、AI生成の野生動物動画を見た人が本物と混同しやすいと報告(9月3日付。日本ではカラパイアが11月10日に紹介)。 |
| 2025年11月19日 | TikTokが、For Youフィードで見るAI動画の量を調整できるスライダーを試験中と発表したと報じられた。ほかに、AI動画を見分けるための見えない透かしも導入するとした。 |
| 2026年1月 | YouTubeのニール・モーハンCEOが、低品質なAI動画へのスパム・クリックベイト対策の強化、AI動画の表示、AIによる肖像の管理ツールの提供予定を発表(1月22日)。年始のYouTubeショートでは、AI動画の収益化停止やアカウント削除が相次いだと報じられた(1月14日)。 |
| 2026年5月6日 | Instagramが、AIをよく使うアカウント向けの「AI creator」ラベルを発表。順次提供とされた。 |
| 2026年6月9日 | 動画制作サービスのKapwingが調査結果を公表。新しいTikTokアカウントのFor You最初の500本のうち59%がAIスロップだったという。 |
| 2026年7月16日 | YouTubeがパートナープログラム(収益化)のルールを整理。収益化できない「量産型のコンテンツ」を3つに分けて説明した。 |
2026年7月の整理で目を引くのは、動物の映像への言及です。YouTubeの公式ヘルプには、収益化できない例として「動物が大げさな苦難や危険にさらされる場面を繰り返すシリーズ」が挙がっています。TechCrunch(2026年7月20日)は、動物が苦しんで、誰かが助ける、という感情を操作する動画も例にあがったと伝えています。
ヒカリちゃんのまとめAI猫は広がり続けましたが、その分だけ「見分けられること」と「量産に報酬を出さないこと」が各社の課題になりました。2026年に入って、ルールがはっきりしてきた流れです。
2024年の記事の答え合わせ
当時書いたことを、2026年10月の時点から確かめます。
| 当時書いたこと | いま振り返ると | 判定 |
|---|---|---|
| AI猫の動画は、短い動画で再びバイラルの中心になっている | 2025年も、TikTokやInstagramで数百万回再生される猫のAIドラマが続いた。 | 当たり |
| 小さな産業が生まれるほどの人気 | CJ ENMのように企業が参入した例がある。一方、個人の量産型チャンネルは収益化の見直しの対象になった。 | 半分当たり |
| 個人クリエイターが、収益化の可能性に期待している | AIを使うこと自体は禁止されていない。ただ、テンプレートで量産した動画は収益化の対象外だと、公式に明記されている。 | 半分当たり |
| 制作は画像生成AIで物語をつくる形が中心 | 2024年末には、Klingなどで動く映像の猫も出ていた。作り方は静止画から動画へ移った。 | 半分当たり |
| 暗い内容は子どもに悪影響を与えるおそれがある | Kapwingの調査では、TikTokのキッズ向けカテゴリーでAIスロップの割合が最も高かった。YouTubeは「不快・不安にさせる内容」も収益化の対象外にした。 | 当たり |
| 表示ルールや権利については触れていない | いま読むと、いちばん抜けていた点。各SNSがAI表示を求めるようになり、権利の整理も必要になった。 | 外れ |
流行を紹介することと、作る人への注意を書くことは、別の仕事でした。
2024年の私たちは、かわいい、面白い、という面を中心に伝えました。いまは、見る人が本物と間違えること、権利を侵すこと、収益化の対象外になること、の3つを先に伝えるべきだったと考えています。
ヒカリちゃんのまとめ流行そのものは当たり、収益化の見通しは半分当たりでした。そして、表示と権利に触れなかったことが、私たちの外れです。
各SNSの表示と収益化のルール
ここからは、いまAI猫動画を出す側の話です。最初に押さえたいのは、「AIで作ったから禁止」ではなく、「本物と見間違えるものは表示する」「量産と使い回しには報酬を出さない」という考え方が共通していることです。
| プラットフォーム | 表示(ラベル) | 収益化・配信 |
|---|---|---|
| YouTube | 現実には起きていない場面をリアルに生成した場合などは、投稿時に開示が必要。空想的な世界や明らかなアニメーションは不要。AIで作った音楽が動画の中心なら開示が必要。YouTubeのAIツールで作った動画や、C2PAの情報が入った動画には自動でラベルがつくことがあり、その場合は外せない。 | AIの利用そのものではなく、テンプレートで量産した内容、動物が苦難や危険にさらされる場面の繰り返しなどが対象外。チャンネル単位で見られる。 |
| AIで作った投稿には「AI info」ラベルがつく。本人の申告か、AIツールの検出が条件。AIを日常的に使うアカウントは「AI creator」ラベルを付けられる(2026年5月発表、順次提供)。 | この記事で確認できた範囲では、AI動画を理由にした収益化の個別ルールは見つかっていない。 | |
| TikTok | 報道によると、本物に見えるAI動画に表示がないと削除されることがある。AI動画を見分ける見えない透かしを、自社のツールとC2PA付きの動画に入れる。 | AI動画の表示量を調整するスライダーを、フィード設定に追加して試験中(2025年11月時点)。 |
猫の動画に当てはめて考えます。しゃべる猫、空を飛ぶ猫、人間のように服を着た猫は、明らかに現実ではないので、YouTubeの基準では開示が不要になる場合が多いでしょう。反対に、「庭に来たヒョウを飼い猫が追い払った」のような、実際にありそうな場面を、実写に見えるように作った動画は、開示の対象になります。迷ったら、表示したほうが安全です。
なお、YouTubeの設定は「改変・合成されたコンテンツ」の開示として、動画をアップロードするときに選ぶ項目です。Studioに自動ラベルの通知が届くこともあります。
ヒカリちゃんのまとめどのSNSも、AIを使うこと自体は認めたうえで、「本物に見えるなら表示」「量産には報酬を出さない」を求めています。迷ったときは、表示する側に倒しておくと安心です。
日本で出すときの権利の注意
日本では、文化庁が2024年3月15日に「AIと著作権に関する考え方について」を公表しています。AI猫の動画に関係する部分を、3つに絞ります。
- 既存の作品に似せると、侵害になりうる。生成AIを使っていても、既存の著作物の表現を知っていて、それに似たものを作れば、著作権の侵害になりうるとされています。作品名やキャラクター名をAIに入力する場合は、特に注意が必要です(同文書33〜34ページ)。
- プロンプトだけでは、自分の作品にならないことがある。AIへの指示が、表現にならないアイデアにとどまる場合、生成物に著作物性は認められないと考えられています。何度も作り直すこと自体は判断に影響せず、確認しながら指示を直す、人が表現として手を加える、といった要素が考慮されます(同39〜40ページ)。
- 著作物でなくても、無断利用が問題になることがある。著作物性がなくても、営業上の利益を侵すような利用は、民法の不法行為になりうるとされています(同40ページ)。
猫の動画で特に気をつけたいのは音楽です。ヒット曲を猫の声に置き換えた音源を使う動画が多いのですが、innovaTopiaの記事は、楽曲の著作権や著作隣接権を侵害するおそれがあると専門家が指摘していると伝えています。自分で作った曲や、利用条件を確認できる素材を使うのが確実です。AI音楽の作り方はSuno・Udioの記事やSunoのカバー機能の記事で紹介しています。
また、使うAIツールごとに、商用利用や公開の条件が決まっています。仕事のアカウントで出す前に、そのツールの規約を確認してください。
ヒカリちゃんのまとめ気をつけたいのは3つです。既存の作品に似せないこと、プロンプトだけでは守られないことがあること、音楽の権利を確かめること。仕事で使うなら、ツールの規約も見ておきましょう。
AI猫動画の作り方と出し方
作り方の流れは、2024年とあまり変わりません。ただし、出す前の確認が増えました。動画をつくるAIは、このブログで紹介しているKling AIやHaiperのほか、いくつかあります。OpenAIのSoraは2026年4月に終了しているので、選ぶときは、いま提供されているかを確認してください。
- 先に型を決める。主役の猫、場面、ひとこと分の物語を1本ごとに考えます。同じ型の使い回しは、量産型と見なされやすくなります。
- 素材と音楽の権利を確認する。既存の曲や作品名を使わず、規約を確認できるものを使います。
- 自分で手を加える。構成、編集、字幕、ナレーションなど、人が決めた部分を増やします。YouTubeの公式ヘルプは、独自の解説や変更が乏しい使い回しを、収益化の対象外の例にあげています。
- 本物に見えるかを判断する。実写のように見せるなら、投稿時のAI開示を必ず入れます。切り取られて広がることを考え、動画の中にも「AI生成」と入れておくと、より確実です。
- 苦しみや危険を売りにしない。動物が傷つく、怖がる場面を繰り返す形は、収益化の対象外にもなり、見る人の不安にもつながります。
- 制作の記録を残す。使ったツール、プロンプト、元素材を保存しておきます。権利の確認や、表示の訂正が必要になったときに役立ちます。
仕事のアカウントで出す場合は、投稿前の確認を担当者1人に任せず、簡単なチェックリストにしておくのがおすすめです。表示は、あとから指摘されてから付けるより、最初から付けておくほうが手間が少なく済みます。
ヒカリちゃんのまとめ作る前に型と権利を決め、出す前に表示を確認する。この2つを習慣にするだけで、AI猫の動画はずっと安心して楽しめますよ。
AI猫動画についてよくある質問
AIで作った猫の動画は、YouTubeで収益化できますか?
AIを使うこと自体は禁止されていません。ただし、テンプレートで量産した内容や、動物が苦難にさらされる場面を繰り返すような内容は、収益化の対象外とYouTubeの公式ヘルプに書かれています。チャンネル全体の傾向で見られます。
AI生成であることは、必ず表示しないといけませんか?
YouTubeでは、現実には起きていない場面をリアルに生成した場合などに開示が必要です。明らかに空想的な内容やアニメーションは、開示が不要とされています。迷う場合は表示してください。
AI猫の動画に、好きな曲を使ってもいいですか?
既存の曲を使う場合は、権利の問題が出ます。猫の声に置き換えた音源でも、楽曲の著作権や著作隣接権の侵害になりうると専門家が指摘しています。自作の曲や、条件を確認できる素材を使うのが安全です。
AI猫の動画を、会社の宣伝に使えますか?
使えますが、使うAIツールの商用利用の条件、音楽の権利、各SNSの表示ルールを確認してください。本物と間違えられる表現も避けたほうがよいでしょう。
SOURCES
- Washington Post「AI cats」(2024年8月3日。今回は本文を開けず、2024年の私たちの記事経由) washingtonpost.com
- FRIDAYデジタル「その『猫動画』本物? YouTubeやTikTokに増えつつあるAI製の『ニセ動物動画』たち」(2024年12月22日)(2026年10月26日確認) friday.kodansha.co.jp
- innovaTopia「AIによる猫動画」(2025年8月19日。原典はThe Guardian 2025年8月18日)(2026年10月26日確認) innovatopia.jp
- カラパイア「AI生成の野生動物映像が混乱を招き、保護活動を脅かす」(2025年11月10日)(2026年10月26日確認) karapaia.com
- TechSpot「TikTok is adding a slider to avoid AI junk, and invisible watermarks to make it work」(2025年11月19日)(2026年10月26日確認) techspot.com
- GIGAZINE「YouTubeのCEOが2026年の方針を発表」(2026年1月22日)(2026年10月26日確認) gigazine.net
- Impress Watch(2026年1月22日)(2026年10月26日確認) watch.impress.co.jp
- Walkerplus/livedoorニュース「『AI動画』で収益停止が続出…」(2026年1月14日)(2026年10月26日確認) news.livedoor.com
- NetInfluencer「Instagram launches AI creator labels」(2026年5月6日)(2026年10月26日確認) netinfluencer.com
- Kapwing「The TikTok AI Slop Report」(2026年6月9日)(2026年10月26日確認) kapwing.com
- TechCrunch「YouTube clarifies policies around AI slop and upsetting videos」(2026年7月20日)(2026年10月26日確認) techcrunch.com
- YouTubeヘルプ「YouTube パートナー プログラムのポリシー」(収益化の対象外となるコンテンツ)(2026年10月26日確認) support.google.com/youtube/answer/1311392
- YouTubeヘルプ「改変または合成されたコンテンツの開示」(2026年10月26日確認) support.google.com/youtube/answer/14328491
- Meta「Our Approach to Labeling AI-Generated Content and Manipulated Media」(2024年4月5日、2025年10月23日更新)(2026年10月26日確認) about.fb.com
- 文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)(2026年10月26日確認) bunka.go.jp(PDF)
「HowtoAI」は、2024年から multifverse.com で続けてきたAI活用の解説シリーズです。社名があたたかいデジタル(ATATAKAI Digital)に変わったことにともない、2026年10月からはこのブログの一つのカテゴリーとして続けていきます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

最終更新 2026年10月26日