Microsoft MAI-1とは|独自AIの答え合わせ
2024年5月に報じられたMicrosoftの独自AI「MAI-1」は、その後どうなったのか。MAI-1-preview、音声・画像・コード用のMAIモデル、OpenAIとの関係の変化を2026年10月時点で整理し、Copilotを使う方が何を確かめればよいかをまとめます。

HowtoAI · AIニュース · 答え合わせ
?この記事はこんな方に
- 「マイクロソフト MAI-1」というニュースを見て、その後どうなったのか知りたい方
- 仕事でCopilotを使っていて、中身のAIが何なのか気になっている方
- MicrosoftとOpenAIの関係が、使うサービスに影響するのか知りたい方
!この記事でわかること
- MAI-1の報道が、2年半でどんなMAIモデルになったか
- 2024年の記事の予想が、何が当たって何が外れたか
- Copilotを使う人が、いま確かめておきたいこと

こんにちは、ヒカリです。
2024年5月に「MicrosoftがMAI-1という大きなAIを作っているらしい」とお伝えしてから、2年以上がたちました。この記事では、当時の報道の内容、その後の出来事、2024年の記事の答え合わせ、OpenAIとの関係の変化、そしていまCopilotを使う方が確かめたいことを、順番に一緒に見ていきますね。
2024年にMAI-1について報じられたこと
2024年5月6日(米国時間)、テックメディアのThe Informationが、Microsoftが「MAI-1」という大規模言語モデルを社内で開発していると報じました。米Ars Technicaが同じ日にその内容を伝え、私たちの2024年5月の記事も、それをもとに書いたものです。
報道の要点は次のとおりです。
- 開発を率いるのは、DeepMindの共同創業者で、AIスタートアップInflectionのCEOだったMustafa Suleyman氏。MicrosoftがInflectionの人員の大半と知的財産を、2024年3月に6億5,000万ドルで取得していた。
- MAI-1は、Inflectionの技術を引き継ぐ可能性はあるが、まったく新しい言語モデルだと、Microsoftの社員2人が確認した。
- パラメータ数は約5,000億。MetaやMistralのモデルの約700億より大きく、Microsoft自身の小型モデルPhi-3よりもはるかに大きい。
- 学習には、NVIDIAのGPUを積んだ大きなサーバー群を使い、OpenAIのGPT-4が作った文章や公開されているWebのデータなどを集めている。
- 使い道は、社内でも決まっていない。性能を見て決める。
- 進み方しだいでは、その月に開かれるMicrosoftの開発者会議Buildで見せるかもしれない。
当時の記事では、これらの要点のほかに、Copilotの土台がOpenAIのGPT-4であることも紹介しました。MicrosoftはOpenAIに100億ドルを超える投資をして、OpenAIのモデルを使う権利を得ていました。その相手と競うモデルを自分で作るのか、という見出しだったわけです。
ヒカリちゃんのまとめ2024年5月の話は、「Microsoftが自分のAIを作っているらしい」という報道でした。数字や使い道は、まだMicrosoft自身の言葉ではなかったことを覚えておいてくださいね。
MAI-1のその後:2年半の動き
結論から言うと、「MAI-1」という名前のモデルは、2025年8月に「MAI-1-preview」として初めて公開されました。その後、MAIの名前がつくモデルは、文章だけでなく、音声、画像、文字起こし、コードへと広がっています。主な出来事を時系列で並べます。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年5月6日 | MAI-1の開発をThe Informationが報道。2024年の記事はこの直後に書いた。 |
| 2025年8月28日 | Microsoft AIが、自社で作った最初のモデル2つを発表。文章の「MAI-1-preview」と、音声を作る「MAI-Voice-1」。MAI-1-previewは、約15,000基のNVIDIA H100で学習した「専門家混合(MoE)」型のモデルとされ、公開評価の場LMArenaでテストが始まった。Copilotの一部の文章機能に順次使うとも説明された。MAI-Voice-1は、Copilot Dailyとポッドキャストの音声に使われていた。 |
| 2025年10月13日 | 画像生成モデル「MAI-Image-1」を発表。11月4日には、BingのImage Creatorなどで使えるようになった。 |
| 2025年11月6日 | Suleyman氏が「MAI Superintelligence Team」の発足を発表。人間を中心に置く「Humanist Superintelligence」を掲げた。 |
| 2026年3月〜4月 | 3月19日にMAI-Image-2、4月2日にMAI-Transcribe-1(文字起こし)とMAI-Voice-1、MAI-Image-2が開発者向けのMicrosoft Foundryで使えるようになる。 |
| 2026年6月2日 | MAI-Thinking-1(考えて答える推論モデル)、MAI-Code-1-Flash(コード用)など、7つのMAIモデルを発表。 |
| 2026年8月12日 | MAI-Thinking-1の紹介ページが更新され、Microsoft Foundryでパブリックプレビューになっている。Microsoftの説明では、全体で約1兆、1回の処理で動くのは約350億パラメータ。 |
| 2026年10月7日 | コード用の「MAI-Code-1.1-Flash」を発表。GitHub Copilotではすでに使える状態で、費用は6月のモデルの4分の1と説明された。 |
MAI-Code-1.1-Flashは、GitHub Copilotの対応モデル一覧にも載っています。GitHub Copilotのモデルを選ぶ方法で書いたとおり、ProプランからMAI-Code-1.1-Flashを選べて、出力100万トークンあたりの単価は1.20ドルです(GitHub Docs、2026年10月26日確認)。無料のFreeプランは、モデルを自分で選べません。
ヒカリちゃんのまとめMAI-1は、1つの大きなモデルというより、「MAI」という名前のモデルの家族になりました。2年半のあいだに、音声、画像、文字起こし、コード用が次々に出ています。
2024年の記事の答え合わせ
2024年5月の記事に書いたこと、またはそこから読み取れる見通しを、いまの時点で確かめます。
| 当時書いたこと | いま振り返ると | 判定 |
|---|---|---|
| MicrosoftがMAI-1という独自の大規模モデルを開発している | 2025年8月28日に、MAI-1-previewとして初めて公開された。 | 当たり |
| 開発はMustafa Suleyman氏が率いる | 同氏はMicrosoft AIを率い、2025年11月からはMAI Superintelligence Teamも率いている。 | 当たり |
| 約5,000億パラメータで、GPT-4級の性能 | MAI-1-previewはMoE型とされ、パラメータ数はMicrosoftの発表ページでは確かめられなかった。2026年のMAI-Thinking-1は、約1兆とされる。「GPT-4級」は、2024年の時点でも2026年から見ても、基準がすでに古い。 | 半分当たり |
| 今月のBuildで見せる可能性がある | 私たちが調べた範囲では、2024年のBuildでの公開は確かめられなかった。実際の公開は1年以上あとだった。 | 外れ |
| 学習データにGPT-4が作った文章を使う | MAI-Thinking-1の紹介ページには、他社のモデルからの蒸留は使っていないと書かれている。MAI-1当時のデータの中身は確かめられない。 | 半分当たり |
| 使い道は性能を見て決める | 実際には、用途ごとに別のモデルが生まれた。音声はCopilotの音声機能、画像はBing、コードはGitHub Copilotで使われている。 | 当たり |
| OpenAIと競合する(記事の見出しの問い) | 自社モデルは育ったが、OpenAIとの提携は続いている。2026年4月27日の見直しで、OpenAIは自社の製品をどのクラウドでも提供できるようになり、MicrosoftのOpenAI技術のライセンス(2032年まで)は非独占になった。ただしMicrosoftは引き続き主要なクラウドの提携先で、大株主です。競い合いと協力が同時に進んでいる。 | 半分当たり |
いちばんの見落としは、「Copilotを使う人にとって何が変わるのか」を書かなかったことです。
2024年の記事は、モデルの大きさと開発者の経歴に紙面を使いました。ただ、読んだ方がほんとうに知りたかったのは、自分が使うCopilotの中身が変わるのか、仕事のデータの扱いが変わるのか、という点だったと思います。この記事の後半は、そこに答えるために書いています。
ヒカリちゃんのまとめ開発者や用途の見立ては、おおむね当たりました。外れたのは時期の予想で、抜けていたのは、使う人にとってどうなのかという視点です。
MicrosoftとOpenAIの関係はどう変わったか
MAIモデルの話は、OpenAIとの関係の変化とセットで見ると、わかりやすくなります。公式発表で確かめられた、2つの大きな節目があります。
2025年10月28日:新しい合意
Microsoftの公式ブログによると、OpenAIが営利法人(OpenAI Group PBC)に移るのにあわせて、両社は合意をつくり直しました。要点は次のとおりです。
- MicrosoftのOpenAIへの出資は、約1,350億ドル、持ち分は約27%。
- MicrosoftがOpenAIのモデルと製品を使える権利は、2032年まで続き、AGI(人間並みのAI)が実現したあとのモデルにも及ぶ。
- OpenAIがAGIを実現したと宣言するには、独立した専門家の委員会の確認が必要になる。
- OpenAIは、Azureを追加で2,500億ドル分買うことを約束した。一方、MicrosoftはOpenAIの計算資源を優先して提供する権利を失った。
- Microsoftは、AGIを自分で、または他社と進めてよいことになった。
Suleyman氏は2026年4月のTechCrunchの取材に対し、この見直しによって、Microsoftが超知能の研究を進められるようになったと話したと報じられています。
2026年4月27日:クラウドとライセンスの独占が緩んだ
2026年4月27日の公式ブログでは、さらに次の点が示されました。
- MicrosoftがOpenAIの技術を使う権利は2032年までだが、独占ではなくなった。
- OpenAIは、すべての製品を、ほかのクラウドでも提供できる。Azureは「主要なクラウド」として残り、OpenAIの製品はまずAzureで出る。
- MicrosoftはOpenAIに収益の一部を払わなくなった。OpenAIからMicrosoftへの支払いは2030年まで続くが、総額に上限がつく。
AnthropicのClaudeもCopilotへ
この間に、Copilotで使えるモデルはOpenAIだけではなくなりました。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年9月24日 | Microsoft 365 Copilotで、AnthropicのClaude Sonnet 4とClaude Opus 4.1が選べるようになる。調査を代わりに進める「Researcher」と、エージェントを作る「Copilot Studio」が対象。使うには、利用者の選択に加えて、管理者の許可が必要。標準はOpenAIのまま。Claudeは、Microsoftの管理外の環境で動き、Anthropicの利用規約が適用されると説明された。 |
| 2025年11月18日 | Microsoft、NVIDIA、Anthropicが提携を発表。AnthropicはAzureの計算資源を300億ドル分買うと約束し、MicrosoftとNVIDIAはそれぞれ最大50億ドル、100億ドルを出資する。Microsoftは、GitHub Copilot、Microsoft 365 Copilot、Copilot StudioでClaudeを使えるようにし続けるとした。 |
| 2026年10月 | GitHub Copilotでは、Claude Sonnet 5.5などAnthropicのモデルも選べる(GitHub Docs、2026年10月26日確認)。 |
ヒカリちゃんのまとめMicrosoftはOpenAIに頼りきりをやめ、自社のMAIモデルと、AnthropicのClaudeも並べるようになりました。OpenAIとの提携は、独占をやめた形で続いています。
Copilotを使う人が確かめたいこと
ここまでを、Copilotを仕事で使う方の目線に置き換えます。結論は、「モデルが増えても、画面の使い方はほとんど変わらないが、確かめておくことはある」です。
- 自分のCopilotがどのモデルかは、種類で変わる。GitHub Copilotは、プランに応じてモデルを選べ、MAI-Code-1.1-Flashも候補にある。Microsoft 365 Copilotでは、どのモデルを使えるかに管理者の設定が関わる。
- Claudeなど他社のモデルは、使う前に管理者の許可が要る。Microsoft 365 Copilotでは、Claudeの利用に管理者の許可が要り、Microsoftの管理外の環境で動く。会社の情報を入れる前に、情報システム担当に聞く。
- 会社の情報は、会社のアカウントで使う。個人用と職場用のCopilotアプリは、2026年8月18日に一つにまとまった。入力の前に、どちらのアカウントかを見る。
- 料金とモデルの対応は、公式の表で見る。GitHub Copilotは、ProとPro+でも選べるモデルが違う。MAI-Code-1.1-Flashは、Pro以上で使える。
- MAIモデルを自分で試したいなら、開発者向けのMicrosoft Foundryを使う。会社のアカウントとAzureの契約が要るため、事務の方はまず担当者に相談する。
CopilotとChatGPTのどちらを使うかはCopilotとChatGPTの違い、Copilotそのものの始め方はCopilotの使い方、WordでのCopilotの使い方はMicrosoft 365 CopilotのWord編にまとめました。この記事では、そこで書いた内容を繰り返していません。
Copilotで作った文章や画像、コードの権利も、これまでと同じ考え方で確認してください。出力が既存の作品や商標に似ていないかを、使う前に自分の目で確かめます。個人向けの規約と会社向けの扱いの違いは、CopilotとChatGPTの違いに書いています。
ヒカリちゃんのまとめCopilotの中身は、OpenAIだけでなくMAIやClaudeも加わって広がっています。ただ、使う側が決めるのは「どのアカウントで、何を入れるか」で、そこは今までと変わりませんよ。
AIニュースの読み方:報道と発表を分ける
MAI-1の例は、AIのニュースを仕事の判断に使うときの練習になります。私たちは、次の4つに気をつけています。
- 「報じられた」と「発表された」を分ける。2024年の約5,000億パラメータは、報道でした。2025年8月の公開で、初めて会社自身の言葉が出ました。
- 性能の数字は、出どころを見る。MAIモデルの性能の数字は、いまもMicrosoft自身が示したものが中心です。
- 契約の話は、公式ブログで確かめる。持ち分や期間は、報道によって細部が食い違うことがありました。Microsoftの公式ブログを基準にします。
- 自分の仕事に関係のある部分だけ拾う。モデルの競争よりも、自分のアカウント、料金、データの扱いが変わるかを見ます。
ヒカリちゃんのまとめニュースは、報道なのか発表なのか、誰が出した数字なのかを分けて読むと安心です。そして最後は、自分の仕事に関わる部分だけを拾えば十分ですよ。
MAI-1についてよくある質問
MAI-1は、いま使えますか?
「MAI-1」という名前では、2025年8月に「MAI-1-preview」として公開されたのが最初です。このときは、LMArenaでのテストと、限られたテスターへのAPI提供という形でした。MAIモデルは、開発者向けのMicrosoft Foundryや、GitHub Copilotなどで使われています。
MAI-1とGPT-4やChatGPTは、どちらが高性能ですか?
比べられる第三者の評価を、この記事では確かめていません。Microsoftは自社モデルの性能を発表していますが、会社自身の数字です。仕事に使うなら、自分の作業で試して決めるのが確実です。
MicrosoftはOpenAIをやめるのですか?
いいえ。2026年4月の見直しで、MicrosoftがOpenAIの技術を使う権利は2032年まで続く一方、独占ではなくなりました。MicrosoftはAnthropicのClaudeや自社のMAIモデルも使っています。
CopilotでClaudeを使えますか?
Microsoft 365 Copilotでは、2025年9月から一部の機能でClaudeを選べるようになりました。管理者の許可が要ります。GitHub Copilotでは、プランに応じて、Claudeを含む複数の会社のモデルを選べます。
SOURCES
- Ars Technica「New Microsoft AI model may challenge GPT-4 and Google Gemini」(2024年5月6日、アーカイブで確認) arstechnica.com
- The Information「Meet MAI-1: Microsoft Readies New AI Model to Compete With Google, OpenAI」(2024年5月6日) theinformation.com
- Microsoft AI「Two in-house models in support of our mission」(2025年8月28日、2026年10月26日確認) microsoft.ai/news/two-new-in-house-models
- Microsoft AI「Introducing MAI-Image-1, debuting in the top 10 on LMArena」(2025年10月13日、2026年10月26日確認) microsoft.ai/news
- Microsoft AI「Towards Humanist Superintelligence」(2025年11月6日、2026年10月26日確認) microsoft.ai/news/towards-humanist-superintelligence
- TechCrunch「Microsoft takes on AI rivals with three new foundational models」(2026年4月2日) techcrunch.com
- Microsoft AI「Building a hill-climbing machine: Launching seven new MAI models」(2026年6月2日、2026年10月26日確認) microsoft.ai/news
- Microsoft AI「Introducing MAI-Thinking-1」(2026年8月12日時点、2026年10月26日確認) microsoft.ai/news/introducing-mai-thinking-1
- Microsoft AI「MAI-Code-1.1-Flash: Better, faster, at a quarter of the cost」(2026年10月7日、2026年10月26日確認) microsoft.ai/news
- Microsoft Official Blog「The next chapter of the Microsoft–OpenAI partnership」(2025年10月28日、2026年10月26日確認) blogs.microsoft.com
- Microsoft Official Blog「The next phase of the Microsoft-OpenAI partnership」(2026年4月27日、2026年10月26日確認) blogs.microsoft.com
- Microsoft 365 Blog「Expanding model choice in Microsoft 365 Copilot」(2025年9月24日、2026年10月26日確認) microsoft.com
- Microsoft Official Blog「Microsoft, NVIDIA and Anthropic announce strategic partnerships」(2025年11月18日) blogs.microsoft.com
- GitHub Docs「Supported AI models in GitHub Copilot」(MAI-Code-1.1-Flashの対応プランと単価。2026年10月26日確認) docs.github.com
「HowtoAI」は、2024年から multifverse.com で続けてきたAI活用の解説シリーズです。社名があたたかいデジタル(ATATAKAI Digital)に変わったことにともない、2026年10月からはこのブログの一つのカテゴリーとして続けていきます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
AIを、どの仕事にどう使うか。
ツールの中身は入れ替わります。Copilotを含め、どの作業にどのAIを使うと効くのか、会社の仕事に合わせて一緒に考えます。
ATATAKAI Digital に相談する
最終更新 2026年10月26日