パッチの前に侵入されていたら?攻撃の痕跡三つ
PHP2Shellの修正前に入られていないか、どう確かめる? JPCERT/CCが示した痕跡三つ、ログの保全からパスワード変更までの5ステップ、IPAの相談窓口を中小企業向けにまとめました。

PHPフリー · Webセキュリティ · リスク編 04
?こんな方におすすめです
- 修正は終わったけれど、その前に入られていないか気になる方
- 何を、どの順番で確かめればよいかわからない方
- 制作会社や保守会社に何を頼めばよいか整理したい方
!この記事でわかること
- JPCERT/CCが示した攻撃の痕跡三つ
- ログの保全からパスワードの変更まで、確認の5ステップ
- 怪しいときの相談先(IPAの窓口とJPCERT/CC)

「何も変わっていないから大丈夫」。本当にそうでしょうか?
入り込んだ側がいちばん望むのは、まさにその「何も変わっていない」状態です。気づかれなければ、裏口を長く使えるからです。
修正とは別に、「入られていないか」を確かめる順番と、誰に何を頼めばよいかを整理しました。
侵入の確認は、何から始めればよいのか?
ログを消さないことからです。
サーバーの「ログ」は防犯カメラの録画のようなもので、いつ、どこから、どんなリクエストが来たかが残っています。ところが、サーバーを再起動したり作り直したりすると、ログが消えることがあります。米国のTechTargetは、再起動や再構築の前に、10月20日以降のログを保全するよう強く勧めています。1
- ログを保全する(再起動の前に。10月20日以降)
- 痕跡三つを確かめる(JPCERT/CCの基準)
- ファイルとユーザーを確かめる(見覚えのないPHPファイル、知らない管理者)
- パスワードとキーを変える(異常がなくても)
- 怪しければ電源は切らずに切り離し、相談する
社内で共有しやすいように、確認の順番を一枚にまとめました。
防犯カメラの録画は、消す前に見るものです。

ヤンのまとめ確認の第一歩は「探すこと」ではなく、「消さないこと」です。
エラーが出ていなければ、大丈夫なのか?
そうとは言えません。今回は「この痕跡があれば確実に侵入された」と言える決定的な目印(IoC)がまだ出ておらず、いつもと違う動きから推し量るしかありません。2

ヤンのまとめ「エラーが出ないから大丈夫」は、今回は通用しません。次の痕跡を、実際に見る必要があります。
JPCERT/CCが示した痕跡三つとは?
長すぎるPHPSESSID、怪しい送信のあとのエラー、ワーカーの繰り返しの再起動です。JPCERT/CCが注意喚起の中で、確認するよう呼びかけています。3 これらは攻撃を受けたサインであって、侵入が確定したという意味ではありません。見つかったら、さらに詳しく調べるきっかけにしてください。
痕跡1:不自然に長い「PHPSESSID」
PHPSESSIDは、サイトが訪問者を見分けるための番号札のようなもので、ふつうは決まった長さの短い文字列です。JPCERT/CCは、過去のレスポンスに「不自然に長い、または異常な形式の値」のPHPSESSIDが含まれていないかを見るよう求めています。3 発見者の一社であるWizも、異常に大きなPHPSESSIDを確認項目に挙げています。4
痕跡2:怪しい送信の前後に出たメモリ不足や「500」のエラー
ファイルを送るときの形式(multipart/form-data)の怪しいリクエストがあり、その前後に「メモリの上限を超えた」というエラーや、サーバーエラーを意味する「HTTP 500」が出ている場合です。3
痕跡3:PHPのプログラムが何度も再起動している
PHPを動かすプログラム(ワーカー)が、思いがけず異常終了したり、何度も再起動したりした跡がある場合です。3 Wizも、ワーカーの再起動が急に増えていないかを見るよう勧めています。4

ヤンのまとめ三つとも、ログで見るものです。だからこそ、1番のログの保全が先なのです。
痕跡三つのほかに、何を見ればよいのか?
見覚えのないファイルと、知らない管理者です。JPCERT/CCも、三つの痕跡に加えて「不審なファイルの作成」などほかの痕跡も確かめるよう求めています。3
- 見覚えのないPHPファイル:画像を置くフォルダのように、本来PHPファイルがないはずの場所に新しいPHPファイルがないか。エックスサーバーは不正アクセスの被害にあった場合、「必ずお客様ご自身ですべてのファイルを精査」するよう案内しています。5
- 知らない管理者ユーザー:WordPressの「ユーザー」に、知らない管理者が増えていないか。エックスサーバーは、身に覚えのないユーザーがいれば削除するよう案内しています。5 CybelAngelは、遠隔操作用の裏口ファイル(Webシェル)や管理者アカウントの追加を、念のため2026年6月までさかのぼって見ることを提案しています。6
- パスワードとキーの変更:データベース、WordPressの管理者、APIキーなど。韓国の情報保護機関KISAは、異常がなくても変更するよう勧めています。7 エックスサーバーも、被害にあった場合はサーバーパネルやWordPressのパスワードの変更を案内しています。5
怪しいものが見つかったら、JPCERT/CCの言うとおり、まずログなどの「証拠を保全した上で」、影響範囲の調査やシステムの隔離に進みます。3 KISAは、電源を切るとメモリ上の手がかりが消えるため、電源は切らずにネットワークから切り離すよう案内しています。7
怪しいとき、どこに相談すればよいのか?
| 相談先 | できること | 連絡方法 |
|---|---|---|
| IPA 不正アクセス特別相談窓口 | 起きていることを聞いたうえで、被害の可能性について助言。インシデント対応の専門業者一覧の紹介8 | 電話 03-6759-5760(平日9:30〜17:30、12:00〜13:00を除く。2026年10月25日時点) |
| JPCERT/CC | インシデントの報告を受け付ける9 | Webフォームまたはメール(原則として電話では受け付けていません) |
| サーバー会社 | ログの保全、サーバー側の痕跡の確認 | 各社のサポート窓口 |
共用レンタルサーバーなら、誰が何をするのか?
| ステップ | 共用レンタルサーバーで行う側 |
|---|---|
| 1. ログの保全 | サーバー会社に問い合わせ |
| 2. 痕跡三つ | サーバー会社に問い合わせ |
| 3. ファイルとユーザー | 御社(WordPressの管理画面・ファイル管理) |
| 4. パスワード・キーの変更 | 御社 |
| 5. 怪しいとき | サーバー会社に問い合わせ + IPAの窓口に相談 |
なお、さくらインターネットは悪用による不正アクセスは報告されていないとし、10 ロリポップ!も攻撃の試みは観測したものの、不正アクセスや情報漏えいは確認されていないと報告しています。11 ただし「確認されていない」は「なかった」とは違います。

ヤンのまとめ共用サーバーでは、サーバー全体のログは見られないことがほとんどです。3番と4番だけ御社で行い、残りはサーバー会社に聞いてください。
では、御社はどうすればよいのか?
選べる道は三つあります。
上の5ステップを、サーバーを扱える担当者と一緒に進めます。
「10月20日以降のログは保全してありますか?」「JPCERT/CCの痕跡三つは確認しましたか?」
PHPのない静的なサイトには、PHPファイルを実行する仕組みがありません。今回のような裏口ファイルは動きません。

ヤンのまとめ今回の確認を、最後の確認にすることもできます。毎回この確認をしなくてもよい形を選べば、「録画を巻き戻して見る」こと自体が減ります。
侵入の確認についてよくある質問
痕跡三つのうち一つでもあれば、侵入されたのですか?
いいえ。攻撃を受けたサインであって、侵入が確定したわけではありません。ファイルとユーザーをさらに詳しく確かめるきっかけにしてください。逆に、痕跡がなくても攻撃を受けていないとは言い切れません。
怪しいとき、サーバーの電源を切ってはいけませんか?
切らないほうがよいです。電源を切るとメモリ上の手がかりが消えるため、ネットワークから切り離したうえで、専門家や機関に相談してください。
共用レンタルサーバーでログが見られない場合は、どうすればよいですか?
サーバー会社に問い合わせます。ログの保全と痕跡の確認はサーバー会社に聞き、見覚えのないファイルや管理者の確認、パスワードの変更は御社で行います。
どこに相談すればよいかわかりません。
IPAの「不正アクセス特別相談窓口」(03-6759-5760、平日9:30〜17:30)に電話できます。被害の可能性について助言を受けられ、対応する専門業者の一覧も紹介してもらえます。
SOURCES
- TechTarget 「PHP2Shell: 22M exposed servers at risk as emergency patches released」(2026年10月21日) techtarget.com
- Rocket Boys(2026年10月21日) rocket-boys.co.jp
- JPCERT/CC 注意喚起 JPCERT-AT-2026-0033(2026年10月22日更新) jpcert.or.jp
- Wiz Research 「PHP2Shell: AI uncovers critical RCE vulnerabilities affecting 70% of the Internet」(2026年10月21日) wiz.io
- エックスサーバー マニュアル 「不正アクセスの被害にあった場合」 xserver.ne.jp
- CybelAngel 「2.24M Internet-Facing PHP Hosts, 59% on Versions With No Fix Coming」(2026年10月21日) cybelangel.com
- KISA 보호나라 「PHP 보안취약점(PHP2Shell) 관련 기업 보안 대응 수칙」(韓国語、2026年10月22日) boho.or.kr
- IPA プレスリリース 「不正アクセス特別相談窓口」開設(2026年10月16日) ipa.go.jp
- JPCERT/CC インシデント報告 form.jpcert.or.jp
- さくらインターネット お知らせ(2026年10月22日) sakura.ad.jp
- ロリポップ! 「PHPの脆弱性への対応に伴うメンテナンス完了と経緯のご報告」(2026年10月22日) lolipop.jp
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- パッチが済んだのに、なぜ安心できない?三つのケース
- VPS・自社サーバーのPHPサイトは、なぜまだ危ないのか
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最終更新 2026年10月25日


