本文へスキップ
あたたかいデジタル
ジャーナル一覧へ
Web SecurityPHPFree約20分

パッチが済んだのに、なぜ安心できない?三つのケース

レンタルサーバー各社がPHP2Shellの修正を終えても、安心できないケースが三つあります。修正前の侵入、自分で管理するサーバー、条件の限られた別の脆弱性。御社がどちら側かを見分ける方法をまとめます。

著者 Jeensuk Yang
パッチのあとに残るリスクを説明するあたたかいデジタル代表ヤン・ジンソクのイラスト

PHPフリー · Webセキュリティ · リスク編 02

Webセキュリティ · PHP · WordPress PHPフリー 02
読了時間 約7分 更新日 2026.10.25 文 ヤン・ジンソク(あたたかいデジタル代表)

こんな方におすすめです

  • レンタルサーバー会社から「PHPの対応完了」のお知らせを受け取った方
  • 「パッチが済んだのだから、もう終わり」と考えている方
  • 自社が例外に当てはまらないか確かめたい方

この記事でわかること

  • パッチが守ってくれるもの、守れないもの
  • 安心できない三つのケースと、それぞれのサイン
  • 自社が「済んだ側」か「まだの側」かを見分ける方法
あごに手を当てて問いかけるヤン・ジンソク
ヤンからのご案内

「対応完了」のメール、届きましたか?

前回の記事で、主なレンタルサーバー会社は10月21〜22日にPHPの修正を終えたとお伝えしました。多くの会社は、これで終わりです。

ただし、三つのケースに当てはまる会社には、まだやることが残っています。御社がどちら側なのか、ご自身で判断できるよう、一つずつ見ていきましょう。

01What a patch does

パッチが済んだら、本当に全部終わりなのか?

ほとんどの場合は終わりです。たとえばエックスサーバーは、共用サーバーのPHP 5.6〜8.5に修正を適用し、「急いでPHPバージョンを変更いただく必要はございません」と案内しています。1

ただ、修正(パッチ)は家の鍵を新しいものに替えるのと同じです。鍵を替えても守れないものがあります。

パッチが守ってくれるものこれから来る攻撃。新しい鍵に替えたあとは、同じ方法では入れません。
守れないもの
  • 替える前に、すでに入っていた人
  • 鍵を自分で替えなければならない家(VPS)
  • 別の扉にあいた、別の穴

新しい鍵は、すでに家の中にいる人や、作られてしまった合鍵には効きません。

右の三つだけ確かめれば大丈夫です。 比較表を指しながら説明するヤン・ジンソク

ヤンのまとめ「対応完了」は、これからの攻撃を防いだという意味です。すでに起きたことと、自分で管理している部分は、別に確かめる必要があります。

02Case 1

ケース1:修正の前に、すでに入られていたら?

パッチを当てても、すでにあけられた侵入口は残ります。今回は修正版の公開前から、一部で攻撃の動きが観測されていました。Amazonのおとりサーバー(ハニーポット)は、公開の4日前の10月17日に攻撃の試みを記録しています。2

パッチはこれからの攻撃を防ぐだけで、すでに入ったものを追い出してはくれません。

JPCERT/CCは、侵害が疑われる場合は「関連するログなどの証拠を保全した上で」調査や隔離をするよう求めています。3 米TechTargetも、サーバーを再起動する前に10月20日以降の記録(ログ)を残すよう勧めています。4

また、この穴を使うとサーバーのメモリにあるパスワードやAPIキーが漏れるおそれがあります。5 そのため韓国の情報保護機関KISAは、異常がなさそうでも、データベースや管理者のパスワードを変えるよう勧めています。6

確かめておきたいサイン

  1. WordPressの管理者一覧に、見覚えのないユーザーが増えている
  2. アップロード用のフォルダなどに、見覚えのないPHPファイルが置かれている
誤解しないでください:「みんな侵入された」という意味ではありません。ロリポップ!は、脆弱性を狙ったとみられるアクセスの試みは確認したものの、「不正アクセスや情報漏えいは現時点で確認されておりません」と報告しています。7 ただ、「確認されていない」と「なかった」は同じではありません。IPAの調査でも、中小企業の84.3%が「被害にあっていない」と答えた一方で、同じころ中小企業1,117社に置いた機器は外部からの不審なアクセスを181,536件も検知していました。8

ヤンのまとめパッチは泥棒を追い出してはくれません。痕跡の見方は、4本目の記事で順番にご説明します。

03Case 2

ケース2:サーバーを自分で管理しているなら?

VPSや自社サーバーは、サーバー会社がPHPを直してはくれません。レンタルサーバーの「共用サーバー」ならPHPはサーバー会社が管理しているので、今回は各社が一斉に直しました。

しかしエックスサーバーはVPSについて「弊社によるPHPの修正パッチの適用は行っておりません」とし1、さくらインターネットも「お客さまのVPS内でPHPが稼働している場合は最新版へのアップデートを推奨します」としています。9 つまりVPSで動いているサイトは、誰かが手を打たない限り、今も穴があいたままかもしれません。

VPSかどうか確かめたほうがよいサイン

  1. 契約名に「VPS」「クラウド」「専用サーバー」が入っている
  2. 制作会社が「サーバーもこちらで用意しました」と言っていた
  3. 毎月、サーバー会社ではなく制作会社の名前で「保守費」が請求されている

ヤンのまとめVPSなら、まず「誰がPHPを上げるのか」を決めることからです。このケースは3本目の記事で詳しく扱います。

04Case 3

ケース3:10月23日に公表された別の穴は?

10月21日の修正とは別の脆弱性ですが、当てはまるサイトはまれです。10月23日、PHPの開発チームはセッション処理にかかわる脆弱性(CVE-2026-115560)について公表しました。10月21日の修正には含まれず、次の定期リリースで直し、詳細もそのときに公開するとしています。10

問題になるのは、セッションの保存形式を設定ファイルとは別の形式に、実行中に切り替えるような珍しい作りのアプリだけです。10

暫定対策「アップロードの進捗表示」機能を止める設定(session.upload_progress.enabled=0)をphp.iniなどに入れ、PHPを再起動します。PHP2Shellの暫定対策ですでにこの設定を入れていれば、追加の対応は要りません。10

なお、ロリポップ!は10月22日の報告で、すべてのバージョンのPHPでこの機能を無効にしたと明らかにしています。7 このケースはサイトを見るだけではわからないので、サーバーの設定を見られる人に聞く必要があります。

ヤンのまとめ今すぐ心配することではありません。ただ、大きな修正の直後にも関連する穴がまた見つかりうる、ということは覚えておいてください。

05What to do

では、御社はどうすればよいのか?

まず三つのケースを一枚にまとめます。

ケース何が残っているか誰が確かめるか
1. 修正前の侵入仕込まれた裏口、漏れたパスワード御社 + サイトの管理者
2. 自分で管理するサーバー穴そのものサーバーを管理している人
3. 別の脆弱性まだ修正版のない別の穴(条件が限られる)サーバーを管理している人(共用サーバーならサーバー会社)

選べる道は三つあります。

A. 自分で確かめる社内に担当者がいるなら

3本目と4本目の記事に手順をすべて書きます。サーバーの設定を扱える人がいれば、この道で十分です。

B. 管理している人に聞く質問ふたつ

「共用サーバーですか、VPSですか?」と「10月20日以降のログは残っていますか?」。答えが返ってこなければ、それ自体が答えです。

C. PHPを使わない形にする会社紹介のサイトなら

PHPがなくても運営できます。PHPがなければ、今回のような「基礎の穴」は生まれません。

ヤンのまとめ多くの中小企業にとって本当の問題は、今回の穴ではありません。次の穴が見つかったときに、また同じように慌ててしまうことだと私は考えています。

FAQ

パッチのあとについてよくある質問

サーバー会社から「対応完了」のメールが来たら、やることはありませんか?

ほとんどの場合はありません。ただ、修正の前に侵入されていないかは別に確かめるのがおすすめです。管理者一覧とアップロード用のフォルダを一度見てみてください。

自社のサイトがVPSかどうかは、どうすればわかりますか?

契約書や請求書を見ればわかります。契約名に「VPS」「クラウド」「専用サーバー」があるか、制作会社がサーバーまで用意したならVPSの可能性があるので、制作会社に聞いてみてください。

CVE-2026-115560には今すぐ対応すべきですか?

ほとんどのサイトは当てはまりません。珍しい作りのアプリでだけ問題になります。気になるなら、サーバーの管理者に session.upload_progress.enabled=0 の設定が入っているか聞いてみてください。

SOURCES

  1. エックスサーバー お知らせ(2026年10月22日、10月23日時点の状況) xserver.ne.jp
  2. Help Net Security 「PHP2Shell: Critical PHP vulnerabilities patched, update now!」(2026年10月21日) helpnetsecurity.com
  3. JPCERT/CC 注意喚起 JPCERT-AT-2026-0033(2026年10月22日) jpcert.or.jp
  4. TechTarget 「PHP2Shell: 22M exposed servers at risk as emergency patches released」(2026年10月21日) techtarget.com
  5. Wiz Research 「PHP2Shell: AI uncovers critical RCE vulnerabilities affecting 70% of the Internet」(2026年10月21日) wiz.io
  6. KISA(韓国インターネット振興院)「PHP 보안취약점(PHP2Shell) 관련 기업 보안 대응 수칙」(韓国語、2026年10月22日) boho.or.kr
  7. ロリポップ! 「PHPの脆弱性への対応に伴うメンテナンス完了と経緯のご報告」(2026年10月22日) lolipop.jp
  8. IPA 「2021年度中小企業における情報セキュリティ対策の実態調査報告書」プレス発表(2022年3月31日) ipa.go.jp
  9. さくらインターネット お知らせ(2026年10月22日、10月23日追記) sakura.ad.jp
  10. PHP Group 「Informational advisory: Session upload progress」(2026年10月23日) php.net
PHPフリー リスク編

PHP2Shellをきっかけに、中小企業のホームページが知っておきたいリスクを5本にまとめます。

  1. PHP2Shellとは?中小企業のホームページに何が起きたのか
  2. パッチが済んだのに、なぜ安心できない?三つのケース(この記事)
  3. VPS・自社サーバーのPHPサイトは、なぜまだ危ないのか(準備中)
  4. パッチの前に侵入されていたら?攻撃の痕跡三つ(準備中)
  5. PHP 8.2のサポート終了(12月31日)までに決めておくこと(準備中)

ほかの記事はあたたかいデジタルのブログでご覧いただけます。

PHPフリー 30秒チェック · 無料

御社は「済んだ側」?それとも「まだの側」?

サイトのアドレスを入れるだけで、PHPを使っているか、サーバー会社の対応状況はどうかをすぐにお知らせします。当てはまらなければ「今は移行しなくて大丈夫です」とそのままお伝えします。

無料で30秒チェック

結果をご覧になってご相談が必要なら あたたかいデジタルに問い合わせる

最終更新 2026年10月25日

あわせて読みたい

PHP 8.2のサポート終了までのカレンダーを考えるあたたかいデジタル代表ヤン・ジンソクのイラスト
Web Security約21分

PHP 8.2のサポート終了(12月31日)までに決めておくこと

PHP 8.2のセキュリティサポートは2026年12月31日に終わります。何が変わるのか、新しいPHPに上げるときの落とし穴、年末までのカレンダーと中小企業が選べる三つの道をまとめました。

侵入の確認の順番を考えるあたたかいデジタル代表ヤン・ジンソクのイラスト
Web Security約22分

パッチの前に侵入されていたら?攻撃の痕跡三つ

PHP2Shellの修正前に入られていないか、どう確かめる? JPCERT/CCが示した痕跡三つ、ログの保全からパスワード変更までの5ステップ、IPAの相談窓口を中小企業向けにまとめました。