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PHP2Shellとは?中小企業のホームページに何が起きたのか

2026年10月に公開されたPHPの深刻な脆弱性PHP2Shell。WordPressで会社のホームページを運営する中小企業に何が起きたのか、自社サイトが当てはまるのか、今日まず何を確かめるかをまとめます。

著者 Jeensuk Yang
PHP2Shellを説明するあたたかいデジタル代表ヤン・ジンソクのイラスト

PHPフリー · Webセキュリティ · リスク編 01

Webセキュリティ · PHP · WordPress PHPフリー 01
読了時間 約7分 更新日 2026.10.24 文 ヤン・ジンソク(あたたかいデジタル代表)

こんな方におすすめです

  • WordPressで会社のホームページを運営している方
  • レンタルサーバー会社から「緊急メンテナンス」「重要なお知らせ」のメールを受け取った方
  • 「WordPressは最新にしているから大丈夫だろう」と思っている方

この記事でわかること

  • PHP2Shellとは何か、どこに穴があいたのか
  • 10月20日から22日までに実際に起きたこと
  • 自社のサイトが当てはまるか、今日まず何を確かめるか
指を立てて説明を始めるヤン・ジンソク
ヤンからのご案内

こんにちは。あたたかいデジタル代表のヤン・ジンソクです。

10月21日の夜、総理大臣がXで「今夜に対応して頂きたい大至急のお願い」を呼びかけました。同じころ、レンタルサーバー会社から緊急メンテナンスのメールを受け取った方も多いでしょう。

「うちのWordPressは最新だし、小さな会社だから関係ない」。そう感じた方にこそ読んでいただきたい記事です。何がどこで壊れたのか、何から確かめればよいのかを、順にご説明します。

01Where it broke

穴はWordPressではなく、PHPにあいていました

今回の穴は、WordPressの中ではなく、その下で動くPHPというプログラムにあいていました。だからWordPressやプラグインを最新にしても、それだけではふさがりません。

ホームページを家にたとえてみましょう。外壁や家具はWordPressのテーマとプラグイン。柱や間取りはWordPress本体。そして家全体を支える基礎が、PHPです。

外壁・家具 テーマ · プラグイン 柱・間取り WordPress本体 基礎 = PHP サーバーの中のプログラム ここにひび

WordPressはPHPの上で動いています。上の階をいくら新しくしても、基礎のひびは埋まりません。

直すのはいちばん下、基礎です。 図を指しながら説明するヤン・ジンソク

ネットワーク企業のCloudflareも、この脆弱性(セキュリティ上の穴)はPHPの実行環境そのものにあり、サイトのコードやプラグインを更新しても直らないと説明しています。1

KEY POINT直すべきなのはWordPressではなく、サーバーの中のPHPです。

ヤンのまとめ「プラグインの更新、完了!」では今回の問題は片づきません。確かめる場所はサーバー側、PHPという基礎です。

02What happened

10月20日〜22日に何が起きたのか

予告から修正版の公開、各社の緊急メンテナンスまで、わずか二日間の出来事でした。

脆弱性は2件(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619)で、まとめて「PHP2Shell(php2shell)」と呼ばれています。見つけたのはCalif、OpenAI、Wizの研究者で、AIを使った調査で発見されました。2·3

9.2点CVSS v4.0基準、10点満点。「緊急(Critical)」の深刻度4·5
2,260万+影響を受けうる、インターネットに公開されたPHP環境(Palo Alto Networks推計)6
10/21 23時修正版の公開予定時刻(日本時間)7·8
日付起きたこと
10月20日PHPの開発チームが「Upcoming Critical PHP Security Release」で緊急セキュリティリリースを予告。9
10月21日IPA(情報処理推進機構)が「PHPを利用しているものを棚卸ししてください」と事前準備を呼びかけ。公開予定は日本時間23時。7
10月21日 夜国家サイバー統括室が「公開しているウェブサイトでPHPを使用しているか確認」するよう呼びかけ。総理大臣もXで対応を求める。pixiv、ニコニコ、BASEなどが緊急メンテナンスへ。10
10月21日 深夜修正版 8.5.12 / 8.4.27 / 8.3.36 / 8.2.35 を公開。8
10月21〜22日レンタルサーバー各社が緊急メンテナンス。4
10月22日JPCERT/CCが注意喚起を公開。11

ヤンのまとめ国がここまで速く動いたのは、それだけ急ぐ問題だったからです。ただ、急ぐ問題ほど、落ち着いて順番を守ることが大切です。

03Why it matters

なぜここまで大騒ぎになったのか

理由は三つあります。

1. ログインしなくても、外からサーバーを動かせる

今回の穴は、パスワードを知らなくても、細工した通信を送るだけでサーバー上でプログラムを動かせてしまう種類のものです。発見者の一社であるWizは、最新のWordPress、Drupal、Joomlaの検証環境でこの攻撃が成り立つことを示し、サーバーのメモリに残ったパスワードやAPIキーが漏れるおそれも指摘しました。2

2. 影響を受けるサーバーがとても多い

PHPは長く世界中のホームページを支えてきた技術です。日本も例外ではなく、使っている言語がわかる.jpサイトの83.5%がPHPで動いています(2026年10月24日時点)。12 だからレンタルサーバー各社が一斉に動きました。

3. 修正版が出る前から情報が出回った

Cloudflareは修正版の公開前から全顧客に防御ルールを入れ、実際に攻撃の通信を観測したと公表しています。1 一方、米国CISAは公表時点で「成功した実際の攻撃は確認していない」としています。13

「攻撃の試み」は複数の企業が観測しました。「攻撃による被害」は、公表時点では確認されていません。

ヤンのまとめ不安をあおる記事も多いのですが、「試み」と「被害」は分けて見てください。そのほうが、今なにをすべきか落ち着いて決められます。

04Is your site at risk?

では、御社のサイトは危ないのでしょうか

一般的なレンタルサーバー(共用サーバー)なら、基礎のひびはすでにサーバー会社が埋めている可能性が高いです。主なレンタルサーバー会社は、10月21〜22日にサーバー側でPHPを修正したと公表しました。

サーバー会社公表された対応(共用サーバー)
エックスサーバーPHP 5.6〜8.5の対象サーバーすべてに修正を適用。「急いでPHPバージョンを変更いただく必要はございません」と案内。14
さくらのレンタルサーバ提供しているPHPに必要な修正を適用し、対応は完了と案内。15
ロリポップ!PHP 5.3〜8.5に修正を適用。あわせて8.2以降への切り替えを依頼。16
ConoHa WING提供中のすべてのPHPバージョンに修正を適用。お客様によるバージョン変更は不要と案内。17

それでも「うちのような小さな会社は狙われない」と思われるかもしれません。2019年の調査では、自社が攻撃の対象になる可能性を「高い」「やや高い」と答えた中小企業の経営者は、合わせて6.2%でした。ところが、約2割はすでに攻撃の被害を経験していました。18 IPAの調査でも、中小企業の不正アクセスの原因で最も多かったのは「脆弱性(セキュリティパッチの未適用等)を突かれた」48.0%です。19 狙われるのは会社の大きさではなく、ふさがれていない穴です。

そのうえで、次のどれかに当てはまる場合は話が変わります。

  1. VPSや自社サーバーのように、サーバーの管理を自社(または制作会社)がしている
  2. 修正される前に、すでに侵入されていた可能性がある
  3. 10月23日にPHP開発チームが公表した、条件の限られた別の脆弱性に当てはまる

ヤンのまとめ多くのレンタルサーバーのサイトは、すでに手当てが済んでいる可能性が高いです。上の三つに当てはまるかだけ確かめてください。三つそれぞれは、続きの記事で一つずつご説明します。

05What to do today

では、今日やることは?

選択肢は三つです。どれも10分かかりません。

A. サーバー会社のお知らせを確認5分

契約しているサーバー会社の「重要なお知らせ」で、PHPの修正が済んでいるかを確かめます。いちばん確実な方法です。

B. PHPのバージョンを見る5分

WordPressの管理画面の「ツール → サイトヘルス → 情報 → サーバー」で確認できます。20 修正後も以前の番号が表示されるサーバー会社もあります。

C. サーバーの管理者を確認質問ひとつ

「うちのサイトはレンタルサーバーですか、VPSですか?」制作会社に任せているなら、こう聞いてみてください。

どれを選ぶかは御社のご判断です。ただ、私はCから始めることをおすすめします。

ヤンのまとめ今回いちばん困るのは、穴そのものより「誰が直すのか、誰も知らない」状態です。まずそこを決めておきましょう。わからないことは恥ずかしいことではなく、出発点です。

FAQ

PHP2Shellについてよくある質問

WordPressとプラグインを最新にすれば解決しますか?

いいえ。穴はWordPressではなく、その下のPHPにあります。サーバーのPHPを修正版(8.5.12 / 8.4.27 / 8.3.36 / 8.2.35)にする必要があります。

レンタルサーバーを使っていれば、何もしなくていいですか?

ほとんどの場合はそうです。共用サーバーならサーバー会社がすでに修正している可能性が高いです。ただし、サーバー会社のお知らせで確かめ、修正前に侵入されていないかは別に確認するのがおすすめです。

自社サイトのPHPのバージョンはどこで見られますか?

WordPressの管理画面の「ツール → サイトヘルス → 情報 → サーバー」に表示されます。番号を変えずに修正したサーバー会社もあるので、お知らせとあわせて確認してください。

攻撃を受けたかどうかは、どうすればわかりますか?

JPCERT/CCが示した三つの痕跡で確かめます。確認の手順は、このシリーズの4本目で詳しくご説明します。

SOURCES

  1. Cloudflare Blog 「Cloudflare deploys protections against php2shell vulnerability」(2026年10月21日) blog.cloudflare.com
  2. Wiz Research 「PHP2Shell: AI uncovers critical RCE vulnerabilities affecting 70% of the Internet」(2026年10月21日) wiz.io
  3. BleepingComputer 「PHP ships emergency patches for critical PHP2Shell flaws」(2026年10月21日) bleepingcomputer.com
  4. 日経クロステック(2026年10月21日) xtech.nikkei.com
  5. Rapid7 ETR(2026年10月21日) rapid7.com
  6. TechTarget 「PHP2Shell: 22M exposed servers at risk as emergency patches released」(2026年10月21日) techtarget.com
  7. IPA 「【事前準備のお願い】PHPのセキュリティリリース公開予定について」(2026年10月21日、10月22日更新) ipa.go.jp
  8. PHP Group 「Security advisory: Critical remote code execution vulnerabilities, update now」(2026年10月21日) php.net
  9. PHP Group 「Upcoming Critical PHP Security Release」(2026年10月20日) php.net
  10. GIGAZINE 「ニコニコやpixivなど各種ウェブサイトおよびアプリがPHPの緊急パッチに対応するべくメンテナンス入り」(2026年10月21日) gigazine.net
  11. JPCERT/CC 注意喚起 JPCERT-AT-2026-0033(2026年10月22日) jpcert.or.jp
  12. W3Techs 「Usage statistics of server-side programming languages for websites, .jp」(2026年10月24日確認) w3techs.com
  13. CISA 「Critical Vulnerabilities in PHP Require Immediate Patching」(2026年10月21日) cisa.gov
  14. エックスサーバー お知らせ(2026年10月22日、10月23日時点の状況) xserver.ne.jp
  15. さくらインターネット お知らせ(2026年10月22日、10月23日追記) sakura.ad.jp
  16. ロリポップ! 「PHPの脆弱性への対応に伴うメンテナンス完了と経緯のご報告」(2026年10月22日) lolipop.jp
  17. ConoHa WING 「【重要】PHPの脆弱性への弊社対応完了のお知らせ(終報)」(2026年10月22日) conoha.jp
  18. ScanNetSecurity 「サイバーリスク対応優先度は経営課題 12 項目中最下位」(日本損害保険協会の調査、2020年1月30日) scan.netsecurity.ne.jp
  19. IPA 「2024年度中小企業等実態調査結果」速報版(2025年2月14日) ipa.go.jp
  20. Rocket Boys(2026年10月21日) rocket-boys.co.jp
PHPフリー リスク編

PHP2Shellをきっかけに、中小企業のホームページが知っておきたいリスクを5本にまとめます。

  1. PHP2Shellとは?(この記事)
  2. パッチが済んだのに、なぜ安心できないのか?三つのケース(準備中)
  3. VPS・自社サーバーのPHPサイトは、なぜまだ危ないのか(準備中)
  4. パッチの前に侵入されていたら?攻撃の痕跡三つ(準備中)
  5. PHP 8.2のサポート終了(12月31日)までに決めておくこと(準備中)

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最終更新 2026年10月25日

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