AIでメールを書く、はじめの一歩|業務メール1通を準備する手順と、もう一歩
AIで業務メールを1通準備する手順を、二つの段階でまとめました。打ち合わせの確認メール1通ではじめて、お客様の問い合わせへの返信でもう一歩進みます。コピーして使えるプロンプト、架空の例、送る前の確認リストまで入っています。

HowtoAI · 業務メール · 実践編
?この記事はこんな方に
- AIを一度も仕事で使ったことがない社長・管理職の方
- 「AIでメールを書く」とは聞くけれど、何を入れればよい結果になるかわからない方
- AIが書いた文章をそのまま送ってよいのか、どこまで信じてよいのか不安な方
!この記事でわかること
- AIにメールを頼むとき、必ず伝えるべき四つのこと
- 打ち合わせ確認メール1通ではじめる手順(10分)と、お客様の問い合わせ返信でもう一歩進む手順(20分)
- 送る前に人が必ず確認すること

こんにちは、ヒカリです。
この記事は「読む記事」ではなく「やってみる記事」です。有料サービスや特別な設定は要りません。いま使っているAIのチャット画面が一つあれば大丈夫です。まず打ち合わせ確認メール1通で感覚をつかみ、余裕があれば、お客様の問い合わせへの返信でもう一歩進んでみましょう。例に出てくる会社や人は、すべて架空です。
AIでメールを書くとは、何を任せて何を残すことなのか?
AIに任せるのは「下書き」で、人に残るのは「確認と送信」です。この二つを最初から分けておけば、AIでのメール作成は難しくありません。
メール1通を書くとき、時間がかかるのはたいてい二か所です。白紙から最初の一文を始めることと、言葉づかいを選ぶことです。伝えたい中身そのものは、すでに頭の中にあります。AIはこの二つを代わりにやってくれます。その代わり、AIは自社の事情も、相手との関係も、約束した日付も知りません。そこは人が伝え、人が確認します。
AIにメールを頼むとき、伝えるべきことは四つです。
| 伝えること | 例 |
|---|---|
| 誰に | 長年の取引先の担当者 / 初めて問い合わせてきたお客様 / 社内のチームメンバー |
| なぜ(目的) | 打ち合わせ日程の確認 / 納期遅れのおわび / 見積もり問い合わせへの返信 |
| 何を(事実) | 日付、場所、決まったこと、まだ決まっていないこと |
| どんな言葉づかいで | 丁寧に / 短く / 堅すぎないように |

この四つが抜けると、AIは空欄をもっともらしい言葉で埋めます。それが「AIはうそをつく」という印象の正体です。こちらが渡さなかったことを、AIが作り話で補ったのです。この現象はハルシネーションと呼ばれます。AIがわざとだますのではなく、知らない部分をもっともらしい言葉で埋めてしまう性質なので、指示を具体的にするほど減らせます。
ヒカリちゃんのまとめAIは「最初の一文」と「言葉づかい」を代わりに考えてくれます。「誰に・なぜ・何を・どんな言葉づかいで」の四つを伝えないと、空欄をAIが想像で埋めてしまいます。
はじめの一歩:打ち合わせ確認メール1通を10分で書くには?
いちばん定型的なメールを1通選び、下のプロンプトのかっこの中だけ書き換えて貼り付ければ大丈夫です。はじめは打ち合わせの確認メールがおすすめです。内容が短く、事実がはっきりしていて、間違えるとすぐ目につくからです。
架空の状況
架空の文具卸会社「ひだまり文具」の営業課長・佐藤さんが、長年取引している小売店「かどの書店」の山田社長に、来週の打ち合わせを確認するメールを送ります。
- 日時:11月4日(水)14時
- 場所:かどの書店の店舗
- 議題:冬の新商品の紹介、先月の返品の整理
- 関係:3年来の取引で、気軽に話せる間柄
コピーして使うプロンプト
| 次の条件でビジネスメールの下書きを書いてください。 宛先:[長年取引している小売店の社長。3年来の取引で、気軽に話せる間柄] 目的:[来週の訪問打ち合わせの日程を確認し、議題を事前に共有する] 必ず入れる事実: - 日時:[11月4日(水)14時] - 場所:[先方の店舗] - 議題:[冬の新商品の紹介、先月の返品の整理] 文体:[丁寧だが堅すぎない。300字前後。件名つき] 上の事実以外の日付・数字・約束は入れないでください。 |
かっこの中を自分の状況に書き換えてください。最後の一行「上の事実以外の日付・数字・約束は入れないでください」は必ず残しましょう。この一行が、AIが想像で空欄を埋めるのを防いでくれます。
結果の例(AIが出しそうな下書き)
| 件名:11月4日(水)14時のご訪問日程のご確認 山田社長 お世話になっております。ひだまり文具の佐藤です。 来週11月4日(水)14時に、店舗へお伺いする予定のご確認です。 今回は冬の新商品のご紹介と、先月の返品の整理をさせていただければと存じます。 日程の変更が必要な場合は、お気軽にお知らせください。 それでは、水曜日にお目にかかれるのを楽しみにしております。 佐藤 |
直す指示:もう一度だけ
下書きが気に入らなくても、最初から書き直させないでください。どこをどう変えたいかを一行で伝えれば十分です。
| いいですね。二点だけ直してください。 1. 「お伺いする予定」を「ご訪問の予定」にして、少しシンプルに 2. 最後に「返品の件の資料は私が用意してまいります」の一文を追加 |
この段階で覚えておくのは一つだけです。直したい箇所を「雰囲気」ではなく「文」で伝えることです。「もう少し柔らかく」より「あいさつをもう一文足して」のほうが、ずっとよく伝わります。
送る前の確認(はじめの一歩)
- 日付・曜日・時刻が、自分が伝えたとおりか
- 場所は合っているか
- 自分が伝えていない約束(「資料をお送りします」など)が入っていないか
- 相手の名前と自分の名前を、自分で入れたか
- 声に出して読んだとき、自分の言葉らしいか
五つとも合っていれば、メールソフトに貼り付けて送ります。ここまで10分で終わります。
ヒカリちゃんのまとめはじめは打ち合わせ確認のように「事実がはっきりした1通」から始めましょう。プロンプトの最後の「上の事実以外は入れないでください」の一行は、必ず残してくださいね。
もう一歩:質問がいくつもある問い合わせには、どう返信する?
お客様からの問い合わせは、打ち合わせの確認とは違います。質問がいくつもあり、その中にはいますぐ答えられないものも混じっています。そこで、いきなり「返信を書いて」とは頼まず、先にAIに問い合わせを「分けて」もらいます。
「もう一歩」の違いは、相手がお客様であることではありません。わからないことを「わからない」と書くメールを、AIと一緒に作ることです。
架空の状況
架空の梱包資材会社「ひなた包装」に、初めて問い合わせてきた架空のカフェ「のんびり珈琲」のオーナーから、次のメールが届きました。
| はじめまして。テイクアウト用のカップスリーブを少量で注文したいのですが。 1. 最小注文数はいくつですか? 2. ロゴの印刷はできますか?1色刷りで足りると思います。 3. いま注文すると、いつごろ届きますか?12月上旬オープンなので少し急いでいます。 4. サンプルを先に見せていただけますか? 5. お支払いは前払いですか? |
ひなた包装の担当者が、いま確実に知っていることは次のとおりだとします。
| 質問 | いま知っていること | 状態 |
|---|---|---|
| 最小注文数 | 500個 | 確定 |
| ロゴ1色印刷 | 可能 | 確定 |
| 納期 | デザイン確定後、通常2〜3週間。12月上旬の納品は製造スケジュールの確認が必要 | 未確定 |
| サンプル | 無地のサンプルは可能。印刷サンプルは条件の確認が必要 | 一部未確定 |
| 支払い条件 | 初回取引の条件は上司に確認が必要 | 未確定 |
ステップ1:まず分ける
返信を書く前に、次のプロンプトで問い合わせを三つに分けます。
| 以下は、初めて問い合わせてきたお客様のメールです。返信を書く前に、まず整理してください。 [お客様のメールを貼り付け ― お客様の名前・連絡先は消して] 次の三つに分けて、表にしてください。 A. お客様が答えを待っている質問(番号をつけて) B. そのうち、私がいま確実に答えられるもの C. そのうち、確認してから答えるべきもの まだ返信は書かないでください。 |
AIにはBとCがわからないので、表ができたら、B・Cの欄を人が自分で埋めます。この作業が「もう一歩」の核心です。何を知っていて何を知らないのかを、メールを書く前に目で確かめるのです。

ステップ2:返信を書く
B・Cを埋めた表をそのまま渡して、返信を頼みます。
| 上の表をもとに、返信の下書きを書いてください。 宛先:[初めて問い合わせてきたカフェのオーナー。12月上旬のオープンを控えて気持ちが急いている] 目的:[確実なことはすぐ答え、確認が必要なことはいつまでに答えるかを伝えて安心してもらう] 確実に答えること(B): - [最小注文数500個] - [ロゴ1色印刷は可能] - [無地サンプルは発送可能] 確認後に答えること(C): - [12月上旬の納品が可能か] - [印刷サンプルの条件] - [初回取引のお支払い条件] C の項目は「確認のうえ、[日付]までに改めてご連絡いたします」と書き、日付は [ ] のまま空けておいてください。 文体:[丁寧で温かく。急ぐ気持ちに寄り添う一文を入れる。400字前後] C の項目について、具体的な日付・価格・可否を推測して書かないでください。 |
結果の例(AIが出しそうな下書き)
| 件名:カップスリーブ少量注文のお問い合わせへのご回答 のんびり珈琲 オーナー様 はじめてご連絡をいただき、ありがとうございます。ひなた包装の田中です。 12月のオープン準備でお忙しい中、お問い合わせをいただき感謝いたします。 まず、すぐにお答えできることからお伝えします。 - 最小注文数は500個です。 - ロゴの1色印刷は可能です。 - 無地のサンプルはすぐにお送りできます。 次の三点は、製造スケジュールと条件を確認したうえで、[ ]までに改めてご連絡いたします。 - 12月上旬の納品が可能かどうか - 印刷サンプルの作成条件 - 初回取引のお支払い条件 オープンに間に合うよう、急いで確認いたします。 田中 |
日付が入る場所が [ ] のまま空いていることに注目してください。これが私たちの望んだ結果です。AIが「3日以内に」と適当に埋めることはありませんでした。
直す指示:言葉づかいを変える
| 内容はそのままで、言葉づかいだけ直してください。 - 「すぐにお答えできることから」を「まず確定している内容から」に - 箇条書きをやめて文でつなぎ、全体を少し柔らかく - 最後のあいさつの前に「サンプルは、ご住所をお知らせいただければ今週中に発送いたします」を追加 ― これは私が確認した事実なので、そのまま入れて構いません |
「これは私が確認した事実なので、そのまま入れて構いません」のように、人が保証した事実とAIが書いた文を分けて伝える習慣をつけると、AIでのメール作成はどんどん安全になります。
送る前の確認(もう一歩)
- お客様の質問5つすべてが、どこかで答えられているか、「確認後に連絡」と書かれているか
- 「確認後に連絡」の項目に、自分が入れていない日付・価格・可否が入っていないか
- [ ] で空けた日付を自分で埋めたか ― 守れる日付か
- お客様の実際の名前・連絡先を、AIの画面に貼り付けていないか
- このメール1通が会社の「約束」になることを意識して読んだか
ヒカリちゃんのまとめ質問がいくつもあるときは、「返信を書いて」の前に「まず分けて」です。知っていること・知らないことを表に分けたら、知らないことは日付を空けたまま書いてもらいましょう。
AIが書いたメール、どこまで信じて、どこから人が見るべきか?
AIが書いた「文」は信じて構いません。AIが書いた「事実」は信じてはいけません。この一行が基準です。
二つの進め方で何度も出てきた確認項目を、一か所にまとめました。メールを送る前に、下を見てください。
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
| 日付・曜日・時刻・数量 | AIはこちらが渡したものを写すだけで、写し間違えることがあります |
| こちらが渡していない約束 | 「資料をお送りします」「値引きいたします」のような文は、AIが親切のつもりで作り話をしがちです |
| 名前・呼び方 | 実名は最初から入れていないので、最後に人が入れます |
| 空けておいた [ ] | すべて埋めたか、守れる内容か |
| 自分の言葉らしいか | 声に出して読み、不自然なところは自分の表現に直します |
そして、「下書きができた」と「送った」はまったく別のことです。この記事のどの段階でも、AIはメールを送っていません。送信ボタンを押すのは人です。AIがメールを代わりに送るAIエージェント型のサービスもありますが、始めたばかりの段階ではおすすめしません。下書きと送信を分ける習慣が先です。
ヒカリちゃんのまとめ「文」はAIを信じて、「事実」は人が見ます。そして「下書き完成」と「送信」は別のことです。送るのは最後まで人ですよ。
今日1通書いてみたら、次は何をすればいい?
今日送るメールのうち、いちばん定型的な1通を選び、02のプロンプトで書いてみることが、次の行動です。その1通が終わったら、次の順で広げていけば大丈夫です。
- 同じ種類のメールを3通書いてみる。打ち合わせの確認、日程の変更、資料の送付のように、毎回似たメールから。3通目あたりでは、プロンプトのかっこの中を書き換えるだけで1〜2分です。
- うまくいったプロンプトをメモしておく。メモ帳でも、メールの署名の下でも構いません。「わが社用のメールプロンプト」が一つずつたまっていきます。
- 03の「まず分ける」を別の仕事にも使ってみる。お客様の問い合わせだけでなく、取引先からの依頼や社内の質問も「知っていること・知らないこと」に分けると、返事が早くなります。
- どこで時間が減ったかを一行書いておく。「最初の一文を書く時間」なのか「言葉づかいの悩み」なのか。その一行が、次にAIをどこに使うかを決めてくれます。
どのAIツールにするかは、この段階では重要ではありません。いま使えるAIのチャット画面で十分で、有料サービスやメール連携がなくても、この記事のすべての手順を試せます。ツールの選び方や料金が気になったら、そのときにChatGPT無料版でできることやCopilotの活用法の記事をご覧ください。プロンプトをもっと磨きたいときは、ChatGPTプロンプトの書き方に基本がまとまっています。
ヒカリちゃんのまとめ次は「同じ種類のメールを3通」です。うまくいったプロンプトはメモしておいて、時間がどこで減ったかを一行だけ書き残してくださいね。
AIでのメール作成についてよくある質問
どのAIを使えばよいですか?
この記事の手順は、特定のサービスに縛られません。いま使えるAIのチャット画面であれば、無料版でも十分です。ただし、会社のアカウントと個人のアカウントでルールが違うことがあるので、仕事で使う前に会社の方針を確認してください。
お客様のメールをそのまま貼り付けてもよいですか?
名前、連絡先、会社名のような、誰かが特定できる情報は消して入れることをおすすめします。この記事の例でも、お客様のメールは「内容」だけを入れ、「誰か」は入れていません。契約書や金額が書かれた書類も同じ基準です。
AIが書いたメールだと、相手にわかりますか?
04の確認リストの最後の項目「自分の言葉らしいか」が答えです。声に出して読み、不自然な表現を自分の言葉に直せば、最終的に送るのは、自分が確認して自分で手を入れたメールです。
AIがメールを送ってくれる機能は使ってはいけませんか?
最初の段階ではおすすめしません。この記事の目的は、「下書き」と「送信」を分ける習慣をつくることです。その習慣ができてから、自動送信を検討しても遅くありません。
SOURCES
この記事は架空の例と一般的な進め方だけで構成しており、特定の製品の機能・料金・画面の説明を含まないため、外部の出典は引用していません。特定のツールの使い方・料金は、本文でリンクしたHowtoAIの各記事の確認日に従います。
「HowtoAI」は、2024年から multifverse.com で続けてきたAI活用の解説シリーズです。社名があたたかいデジタル(ATATAKAI Digital)に変わったことにともない、2026年10月からはこのブログの一つのカテゴリーとして続けていきます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
AIを、どの仕事にどう使うか。
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最終更新 2026年10月27日