社長が握っておくべきホームページの鍵5本
ドメイン・サーバー・WordPressの管理者・メール・DNS。ホームページの鍵5本がどこで、誰の名義で、誰が入れるのかを、表1枚に整理する方法と、確かめる場所、最初の30分でやることをまとめました。パスワードは表に書きません。

PHPフリー · Webセキュリティ · チェックリスト
?こんな方におすすめです
- ホームページを制作会社や以前の社員に任せていて、誰が何を管理しているかわからない方
- PHPのニュースを聞いて確かめようとしたら、「サーバー会社ってどこだっけ?」で止まった方
- 業者を替える前や、担当者が替わる前に整理しておきたい方
!この記事でわかること
- ホームページの鍵5本(ドメイン・サーバー・WordPress・メール・DNS)の役割
- 鍵ごとに、どこで何を確かめればいいか
- 表1枚で整理するための書式と、最初の30分でやること

お店の鍵の束、いま誰のポケットにありますか?
お店を開いた日、社長は鍵の束を受け取りました。表の扉、倉庫、金庫。どの鍵がどの扉か、社長は知っています。
ホームページにも鍵の束があります。ところがその束は、作ってくれた業者の引き出しに入ったままのことがよくあります。ふだんは何も起きません。困るのは、業者と連絡が取れなくなった日、事故が起きた日、今回のように確かめることができた日です。この記事は、鍵を取り返そうという話ではなく、鍵がどこにあるかを書き留めておこうという話です。
なぜ、鍵から整理する必要があるのか?
事故が起きた日や業者を替える日に、誰がどの扉を開けられるかがわかっていないと動けないからです。整理そのものは技術ではなく、契約と名義と連絡先の仕事です。
任せると、任せた中身がわからなくなりがちです。パロアルトネットワークスの調査では、セキュリティを外部に委託している中小企業は63%で、そのうち29%は委託内容自体を把握していませんでした(従業員50〜499人の企業の意思決定者523人が対象)。1 ホームページも変わりません。
- ドメイン:会社のインターネット上の住所。名義と更新日
- サーバー:ホームページが住む家。契約者と管理画面
- WordPressの管理者:ホームページの中のすべての扉を開ける鍵
- メール:会社のアドレスでやりとりする手紙。誰がアカウントを作るか
- DNS:住所を家と郵便局につなぐ案内板
5本とも、「どこで、誰の名義で、誰が入れるか」だけを書けば大丈夫です。

ヤンのまとめ鍵を業者が持っていてもかまいません。ただ、鍵がどこにあるかは、社長が知っておく必要があります。
鍵1:ドメインは誰の名義で、いつまでか?
ドメイン(会社のインターネット上の住所)は、名義人と有効期限を確かめます。更新の案内が誰のメールに届くかもあわせて見ます。
.comのような一般的なドメインの国際的なルール(ICANN)は、登録会社が期限切れの前に更新の案内を少なくとも2回、ドメインの情報に書かれた登録者のメールに送ると定めています。期限が切れると削除の前に最大8日間ドメインが止まり、削除のあとには30日の回復期間があります。2 案内が以前の担当者のメールに届いているなら、誰も知らないうちに、ホームページと会社のメールがいっしょに止まるかもしれません。
.jpドメインを管理するJPRSは、廃止されたドメインは一定期間のあと誰でも登録できるようになり、「元のサイトに似せた偽サイトや過去使われていたものと同じメールアドレスを使って悪用する事例も」あると説明しています。そのうえで「トラブル防止に最も有効な対策はドメイン名登録の継続」だとしています。3
ドメイン名の管理=ブランドの管理 — JPRSの講演資料(2026年1月)より

ヤンのまとめドメインは会社の表札です。表札が他人の名前で掛かっていたら、家は自分のものでも、郵便は他人に届きます。
鍵2:サーバーの契約は、誰がどこでしているのか?
サーバー(ホームページのファイルが入っている借りた場所)は、契約している会社の名前と、管理画面のログインの持ち主を確かめます。
サーバーの管理画面は家の鍵です。エックスサーバーは、このログインの情報が漏れると、迷惑メールの送信やホームページの改ざんといった次の攻撃の「踏み台として利用されてしまう恐れ」があると案内しています。4 だから、誰がこの鍵を持っているかが大切です。

ヤンのまとめ料金は社長のカードから出ているのに、契約は業者の名義ということがあります。お金を払う人と鍵を持つ人が同じかを見てください。
鍵3:WordPressの管理者は何人いるのか?
WordPressの管理者アカウントは、本当に必要な人だけが持つように減らします。管理者は、サイトの中のすべての機能を扱える鍵です。
WordPress.orgは、管理者(Administrator)を、ひとつのサイトの中のすべての管理機能にアクセスできる人だと説明しています。5 辞めた社員、契約の終わった業者、一度入って直してくれた知人の管理者アカウントがまだ残っているなら、その数だけ扉が開いているのと同じです。

ヤンのまとめ鍵は合鍵を作るほど便利になりますが、作った数だけ、なくす場所も増えます。
鍵4・5:メールとDNSは、どこで管理しているのか?
会社のメールはどのサービスでアカウントを作っているか、DNS(ドメインをサーバーとメールにつなぐ設定)はどこで変えるのかを確かめます。2つはつながっています。
DNSは、郵便局の住所の案内板のようなものです。この案内板が、ホームページを訪れた人をサーバーへ、会社あてに届いたメールをメールのサービスへ送ります。案内板を変えられる人は、ホームページとメールの道をいっしょに変えられます。JPRSも、ドメインを廃止するときには、そのドメインで作ったアカウントやメールアドレスの把握、DNSの設定の変更・削除まで必要だと案内しています。3 ドメインひとつに、それだけ多くのものがかかっているということです。
メールには、もうひとつ見るものがあります。うちの会社のメールが本物だと証明する設定(SPF・DKIM・DMARC)です。米国の連邦取引委員会(FTC)が2018年に小規模事業者向けのホスティング11社を調べたところ、SPFかDKIMを標準でオンにしていたのは3社、DMARCを標準でオンにしていたのは1社もありませんでした。6 初期設定に任せておくと、抜けているかもしれないということです。

ヤンのまとめDNSは目に見えませんが、会社のすべての道が通る交差点です。交差点の信号を誰が変えられるかだけは、知っておいてください。
表1枚に、どうやって整理すればいいのか?
下の表を会社の文書に写して、欄を埋めます。パスワードは表に書かず、パスワード管理の道具や金庫のように別に保管します。
| 鍵 | どこで(会社名) | 名義・契約者 | 入れる人 | 次の更新日 | 2段階認証 |
|---|---|---|---|---|---|
| ドメイン | |||||
| サーバー | |||||
| WordPressの管理者 | (サイトのアドレス)/wp-admin | — | — | ||
| 会社のメール | |||||
| DNS | — |
わからない欄があれば、制作会社にこう聞いてみてください。「弊社のホームページのドメイン・サーバー・メール・DNSが、どこで誰の名義になっているか、表でいただけますか。パスワードは不要です」。聞くのは失礼ではなく、契約の基本です。
- 今週の30分:カレンダーに30分を取り、表の最初の2行(ドメイン・サーバー)だけを埋めます。
- もし更新の案内メールが来たら:誰が受け取って誰が支払うかを、名前で書いておきます。
- もし担当者や業者が替わったら:この表を出して、入れる人を替えます。
表を埋めてみて、5本の鍵がすべて会社の名義で、連絡の取れる人が管理しているなら、それで十分です(2026年10月25日時点の私たちの考えです)。ほかに任せることはありません。欄が空いていたり行き詰まったりするところがあれば、そこがひとりでは難しいところです。

ヤンのまとめ整理は疑いではなく、準備です。よい業者ほど、この表を喜んで埋めてくれます。
ホームページの鍵の整理について、よくある質問
ドメインが制作会社の名義になっていたら、問題ですか?
すぐに問題というわけではありませんが、確認は必要です。更新の案内が誰に届くか、業者と連絡が取れなくなっても自社で更新・移管できるかを、登録会社と制作会社に聞いてください。
パスワードもすべて受け取っておくべきですか?
表に書く必要はありません。誰が入れるかと連絡先を知っておき、パスワードは業者と決めた方法で安全に別に保管してください。
整理さえしておけば、PHPの問題は解決しますか?
いいえ。整理は、確認と対処を速くするための準備です。当てはまるかどうかは、1分判定表や30秒チェックで別に確かめてください。
SOURCES
- クラウド Watch 「中小企業の44%は2023年にサイバー攻撃や内部犯行による被害を経験、パロアルトネットワークス調査」(2024年8月9日) cloud.watch.impress.co.jp
- ICANN 「5 Things every Domain Name Registrant should know about ICANN's Expired Registration Recovery Policy (ERRP)」 icann.org
- JPRS 「未然に防ぐために:ドメイン名トラブルの実態と基本対策」(2026年1月23日、13〜18ページ) nic.ad.jp
- エックスサーバー 「XServerアカウント・サーバーパネルへの不正ログインについて」マニュアル(日付の表記なし) xserver.ne.jp
- WordPress.org 「Roles and Capabilities」(2026年9月2日更新) wordpress.org
- FTC Business Blog 「Hiring a web host? FTC has security tips for small businesses」(2018年2月20日) ftc.gov
何が起きたのかは、リスク編から順にお読みいただけます。
- PHP2Shellとは?中小企業のホームページに何が起きたのか
- VPS・自社サーバーのPHPサイトは、なぜまだ危ないのか
- 社長が握っておくべきホームページの鍵5本(この記事)
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最終更新 2026年10月26日

