バイブコーディングとは?「10人で150億円」の答え合わせ
「バイブコーディングとは」を紹介した2025年3月の記事を、2026年10月の時点から確かめ直しました。「10人で150億円」という主張は実際には何と言われたのか、品質とセキュリティの調査は何を示すのか、小さなチームが安全に試す手順とツールをまとめます。

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?この記事はこんな方に
- 「バイブコーディングとは」で調べて、言葉の意味をはっきりさせたい方
- 「10人で150億円の会社」という話が本当なのか気になっている方
- エンジニアではないが、AIに社内ツールやアプリを作らせてみたい方
!この記事でわかること
- バイブコーディングという言葉の意味と、いまの使われ方
- 2025年に言われたことが、実際には何で、どうなったか
- 小さなチームが安全に試すための手順と、使えるツール

こんにちは、ヒカリです。
2025年3月、私たちは「バイブコーディングで10人で150億円の会社を作る時代へ」という記事を書きました。この記事では、まずそのとき何が言われたのかを確かめ、次にこの1年半で言葉の意味と主張がどうなったかを見ていきます。最後に、品質とセキュリティの調査をふまえて、小さなチームが安全に試す手順を一緒に整理しますね。
バイブコーディングとは?2025年に言われたこと
私たちが2025年3月21日に公開した記事は、アメリカのスタートアップ支援団体Y Combinator(YC)のギャリー・タンCEOの発言と、Anthropicのダリオ・アモデイCEOの予測を紹介するものでした。伝えた内容は、おもに次の4つです。
- バイブコーディングは、AIにコードを書かせ、人は指示を出すだけでアプリを作る開発のやり方。
- YCの最新の支援先のうち約25%は、コードの95%をAIが書いている。
- 課題はデバッグ(不具合の修正)。人が最終確認をする必要がある。
当時の記事は、タン氏の発言を「すでに起きたこと」のように書き、よくある質問では「年商1億ドルを達成している企業が続出しています」とまで言い切っていました。数字の出どころは、記事のどこにも示していませんでした。
ヒカリちゃんのまとめ2025年の記事は、YCの責任者とAnthropicのCEOの発言をもとに「少人数で大きな会社を作れる時代」と伝えました。次の章から、その言葉の意味とそれぞれの主張を確かめていきますね。
バイブコーディングとは、いまどういう意味か
もとの意味は、思ったより軽いものでした。カルパシ氏は2025年2月、「雰囲気(vibes)に身をまかせ、コードがあることすら忘れる」新しいコーディングだと、SNSに書きました。自分で読まずに、AIの出した変更を受け入れ、動かして、直したいところを言葉で伝える。カルパシ氏はこれを、捨てても困らない週末の作りものに向く方法だと位置づけていました。
その後、言葉は広い意味で使われるようになりました。主な出来事を並べます。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年2月 | カルパシ氏がSNSで「バイブコーディング」という言葉を使う。 |
| 2025年3月 | YCのタン氏がCNBCなどの取材で、少人数でも大きな事業を作れると発言(15日)。アモデイ氏が「3〜6か月でコードの90%をAIが書く」と予測。 |
| 2025年6月 | AIで作ったWebアプリの設定不備で、利用者の情報が見える状態だったと報じられる(Lovableの事例。第4章)。 |
| 2025年7月 | METRの実験(10日)、Replitのエージェントが本番のデータベースを消した事例、Veracodeの調査(30日)。いずれも第4章。 |
| 2025年11月6日 | 英国の辞書Collinsが、2025年の「今年の単語」にvibe codingを選ぶ。定義は「AIの助けを借りて、やや雑にコードを書くこと」。 |
| 2026年2月 | カルパシ氏が、プロの現場での使い方を「agentic engineering(エージェント工学)」と呼ぶことを提案。AIにコードを任せつつ、人が方向を示し、確かめる働き方を指す。 |
| 2026年6月4日 | Anthropicが、自社の本番コードの80%超(2026年5月)をClaudeが書いたと報告。 |
いまは、次のように使い分けると整理しやすくなります。
| 呼び方 | 人の関わり方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| バイブコーディング | コードを読まず、動くかどうかだけ見る | 試作、個人の道具、捨てても困らないもの |
| エージェントによる開発 | AIに任せて、人が方針を決め、結果を確かめる | 仕事のコード、長く使うもの |
ヒカリちゃんのまとめバイブコーディングは、もともとは「読まずに任せる気軽な作り方」でした。仕事のコードでは、人が確かめながら進めるやり方が、別の呼び名で語られ始めています。
「10人で150億円」の答え合わせ
まず、いちばん気になる数字から確かめます。タン氏の発言は、CNBCの記事(2025年3月15日)では「10人で、年に1,000万ドルや1億ドルを稼ぐ独立した事業を作れる」という言い方でした。Business Insiderの記事(3月17日)では、少人数のチームが「年に100万ドルから1,000万ドル」の売上に達している、とも伝えています。1億ドルのほうは、市場が小さくても事業になる、という文脈の話です。
「作れる」という可能性の話を、「続出している」という事実の話にしてしまいました。
タン氏の発言のどこにも、10人未満で年商1億ドルに達した会社が続々と出ている、という事実は見当たりません。私たちが調べた範囲でも、そうした会社を具体的に確認できていません。ほかの主張も、一つずつ並べます。
| 当時書いたこと | いま振り返ると | 判定 |
|---|---|---|
| カルパシ氏が2025年2月に広めた言葉 | そのとおり。辞書にも載り、2025年の単語に選ばれた。 | 当たり |
| 10人未満で、年商1億ドル(約150億円)の企業が続出 | タン氏は「作れる」と述べたにすぎず、売上の実例として挙げたのは最大1,000万ドル。1億ドルの実例は確認できない。 | 外れ |
| YCの支援先の約25%が、コードの95%をAIで生成 | タン氏の発言どおり。ただし創業者への聞き取りをもとにした本人の説明で、第三者の検証ではない。 | 当時は正確 |
| 1人のエンジニアが、1日で50〜100人分の作業をこなせる | タン氏の発言は「10人のチームが、50人や100人分の仕事をする」だった。数も言い方も違っていた。実験では、経験者が19%長くかかった例もある。 | 外れ |
| 12か月以内に、AIがほぼすべてのコーディングを担う | Anthropic社内では80%超(同社の測り方)。一方、世の中全体でそうなったとは言えない。 | 半分当たり |
| 課題はデバッグ。人が最終チェックをする必要がある | 2026年になっても、方向づけと確認は人の役割だと、Anthropic自身も述べている。 | 当たり |
| この課題も、今後は解消される可能性が高い | セキュリティの面では、2025年の調査で改善が見られなかった(第4章)。 | 半分当たり |
| エンジニアがコードを書く必要がほとんどなくなった | コードを書く量は減ったが、読む・確かめる・決める仕事が残っている。 | 半分当たり |
アモデイ氏の予測は、2025年3月の講演で語られたものです。Anthropicは2026年6月、自社の本番コードの80%超(2026年5月分)をClaudeが書いたと報告しました。ただし同社は、書いたコードの量は品質を表さず、1日に統合されるコードが約8倍になったという数字も「生産性の向上を過大に示している」と述べています。社内の調査では、研究職130人の自己申告の中央値は約4倍でした。
ヒカリちゃんのまとめ「10人で150億円」は、実例ではなく「そうなりうる」という発言でした。確かな部分は、AIがコードを書く割合が増えたことと、確認の仕事が人に残っていることです。
バイブコーディングの品質とセキュリティを、調査で見る
「速くて安く作れる」ことと、「安心して使える」ことは別の話です。調査や事例を3つ見ます。
AIの書いたコードの、約45%に脆弱性
セキュリティ企業のVeracodeは2025年7月30日、100以上のAIモデルに、80の課題でコードを書かせた結果を発表しました。約45%の課題で、よく知られた種類の脆弱性を含むコードが出てきました。Javaでは失敗率が70%を超え、Python・C#・JavaScriptは38〜45%でした。モデルが新しく大きくなっても、セキュリティの成績はほとんど変わらなかったとしています。
速くなったと感じても、速くなったとは限らない
研究機関METRが2025年7月に公表した実験では、経験豊富な開発者がAIを使うと、課題に19%長くかかりました。本人たちは「20%速くなった」と感じていました。2026年2月の報告では、いまは速くなっている可能性が高いとしつつ、その大きさはデータからは言えないとしています。詳しくは コード生成AI「使用率75%」の答え合わせ にまとめています。
公開したアプリで起きたこと
| 事例 | 何が起きたか |
|---|---|
| Lovable(2025年5〜6月) | 研究者が、Lovableで作られた公開アプリ1,645件を調べ、170件でデータベースの閲覧制限(行レベルセキュリティ)が設定されておらず、メールアドレスや金融情報、APIキーなどが誰でも見られる状態だったと報告(CVE-2025-48757)。Lovable側は対策を取ったと説明したが、研究者は根本的には解決していないとした。NVDの記載では、各アプリの利用者がデータを守る責任を負うとして、Lovable側は異議を唱えている。 |
| Replit(2025年7月) | 起業家のジェイソン・レムキン氏が、Replitのエージェントを試していたところ、本番のデータベースが消されたと投稿。「変更の前に確認を取るように」と指示していたという。Replitの代表は「あってはならない」と述べ、開発用と本番用の自動分離などを発表した。AIの発言はレムキン氏の投稿に基づく報道で、細部は報道によって異なる。 |
日本のセキュリティ記事も、同じ点を指摘しています。トレンドマイクロの見解(@IT、2026年5月28日掲載)は、リスクの本質は「AIが危ないコードを書くこと」より、「人がセキュリティを確かめる仕組みのないまま公開してしまうこと」だとしています。AI生成コードの落とし穴として、選んでいない部品が入り込むこと、本番に不向きな初期設定が残ること、秘密情報の管理が甘いこと、正常な入力しか考えていないことの4つを挙げています。
ヒカリちゃんのまとめ動くアプリができても、安全とは限りません。調査と事例に共通していたのは、「公開する前に、人が確かめる仕組み」が足りなかったことです。
小さなチームが安全に試す手順
エンジニアのいない会社でも、順番を守れば、バイブコーディングは役に立ちます。ここまでの調査や事例をふまえて、私たちが大事だと考える手順です。
- 捨てても困らないものから作る。社内だけで使う集計表、予約の目安を出す画面、ちょっとした計算機など。お客様の情報や決済に関わるものは、最初から選ばない。
- 本物のデータは入れない。形だけ同じ仮のデータで、動きを確かめる。
- パスワードやAPIキーを貼らない。AIの作ったコードの中に、テスト用の鍵や設定が残っていないかも見る。
- 本番とテストを分け、元に戻せるようにする。作業の前にバックアップを取る。AIに本番のデータを直接さわらせない。Replitの事例の教訓です。
- 公開する前に、「誰が何を読めるか」を確かめる。ログイン画面があっても、データベースの設定が空いていれば、情報は見えてしまう。Lovableの事例の教訓です。
- お客様の情報を扱うものは、専門家に見てもらう。個人情報、決済、一般公開するものは、AIの自己点検だけで済ませない。
- 作ったコードと指示文を手元に残し、時間を測る。GitHubや社内のドライブに保存しておけば、ツールが変わっても続けられる。作業の前後で時間を測り、本当に速くなったかを確かめる。
生成されたコードの権利やデータの扱いについては、コード生成AIおすすめ5選の比較(2026年版) にまとめています。入力した内容が学習に使われるかは、プランによって違います。仕事で使う前に、各ツールの設定を確かめてください。
ヒカリちゃんのまとめ小さく作り、仮のデータで試し、公開の前に人が確かめます。この順番を守るだけで、起きやすい失敗の多くは避けられるはずです。
バイブコーディングに使えるツールと、いまやること
どれも日本語で指示できます。料金は、比較記事と同じく2026年10月26日に各社の公式ページで確かめたものです。ドル建てには、日本の消費税が別にかかる場合があります。
画面づくりまでまとめて任せられる、ブラウザで使うサービス。無料プランは1日5クレジット、月30までです。公開前の設定確認は、第5章のとおり自分で行います。
AI専用のエディター。カルパシ氏が最初の投稿で使っていたのもCursorでした。2026年6月にSpaceXによる運営会社の買収(約600億ドル)が合意され、2026年8月14日に完了したと報じられています。
ターミナルやVS Codeで使うコーディングエージェント。無料プランには含まれません。年払いなら月17ドル相当です。
デスクトップアプリで順次提供されています。Goは月1,400円、Plusは月3,000円、Proは月16,800円からです。
いつものエディターに足して使います。コードをGitHubに残せるので、あとで他のツールに移りやすいのも利点です。
エンジニアでない方は、まず無料の範囲で、第5章の1つ目のような小さな作業を試すのがおすすめです。画面のあるものはLovable、表やファイルの処理はChatGPTのCodexやClaudeが選びやすい入口です。ツールが入れ替わる速さについては、この1年半の動きもあわせて読んでください。
ヒカリちゃんのまとめまずは無料の範囲で、小さな社内ツールを一つ作ってみましょう。ツールは入れ替わりますが、確かめる順番と、作ったものを手元に残す習慣は、どのツールでも役に立ちます。
バイブコーディングについてよくある質問
バイブコーディングとは何ですか?
AIに指示を出してコードを書かせ、中身をほとんど読まずに、動くかどうかで進める作り方です。2025年2月にカルパシ氏が使って広まりました。Collinsは「AIの助けを借りて、やや雑にコードを書くこと」と定義しています。
10人で年商150億円の会社は本当にできていますか?
確認できていません。YCのタン氏は「10人で1,000万ドルや1億ドルの事業を作れる」と述べましたが、実例として挙げたのは最大でも年1,000万ドルの売上でした。
プログラミングができなくても、バイブコーディングで仕事のアプリを作れますか?
社内だけで使う小さな道具なら試せます。ただし、お客様の情報を扱うものや一般に公開するものは、公開前に専門家の確認をおすすめします。AIが作ったアプリで、データが誰でも見られる状態だった事例が報告されています。
AIが書いたコードは安全ですか?
安全とは言えません。Veracodeの2025年の調査では、約45%の課題で脆弱性を含むコードが出ました。公開する前に、人が確かめる手順が必要です。
SOURCES
- CNBC「Y Combinator startups are fastest-growing, most profitable in fund history because of AI」(2025年3月15日公開、21日更新。NBC New Yorkの転載。2026年10月26日確認) nbcnewyork.com
- Business Insider「'Vibe coding' lets 10 engineers do the work of a team of 50 to 100, says CEO of Silicon Valley incubator」(2025年3月17日。Yahoo Tech掲載。2026年10月26日確認) tech.yahoo.com
- LBC「Vibe coding named Collins word of the year」(2025年11月6日公開、2026年2月10日更新。2026年10月26日確認) lbc.co.uk
- The New Stack「Vibe coding is passé. Karpathy has a new name for the future of software」(2026年2月。本文は確認できず、見出しと検索結果の要約による。2026年10月26日確認) thenewstack.io
- Business Insider「The guy who coined 'vibe-coding' says the next big thing is 'agentic engineering'」(AOL掲載、2026年2月27日) aol.com
- Anthropic「Recursive self-improvement」(Anthropic Institute、2026年6月。2026年9月18日付の更新表記あり。2026年10月26日確認) anthropic.com/institute
- The State of AI「Anthropic 80 percent code, not engineers」(アモデイ氏の2025年3月の予測と、Anthropicの報告の整理。2026年10月26日確認) thestateofai.com
- Veracode「AI-Generated Code Poses Major Security Risks in Nearly Half of All Development Tasks」(2025年7月30日。2026年10月26日確認) veracode.com
- METR「Measuring the Impact of Early-2025 AI on Experienced Open-Source Developer Productivity」(2025年7月10日) metr.org
- METR「We are Changing our Developer Productivity Experiment Design」(2026年2月24日) metr.org
- GIGAZINE(英語版)「Lovableで作られたサービスの脆弱性」(2025年6月2日。2026年10月26日確認) gigazine.net
- CVEmon「CVE-2025-48757」(NVDの記載の要約。2026年10月26日確認) cvemon.intruder.io
- eWeek「'Catastrophic Failure': AI Agent Wipes Production Database, Then Lies About It」(2025年7月。2026年10月26日、検索結果で確認) eweek.com
- heise online「Vibe coding service Replit deletes production database」(2025年7月。2026年10月26日、検索結果で確認) heise.de
- @IT「『バイブコーディングは危険』はもう古い “AI任せ”のコードに潜む4つのワナと回避策」(2026年5月28日。トレンドマイクロの見解。2026年10月26日確認) atmarkit.itmedia.co.jp
- ITmedia AI+「『バイブコーディング』のセキュリティリスク、どう対応? 企業がやるべき“3つのこと”」(2026年4月28日。1ページ目のみ確認) itmedia.co.jp
- Techzine「SpaceX acquires Cursor for $60 billion」(2026年6月16日) techzine.eu
- Lovable「Pricing」(2026年10月26日確認) lovable.dev/pricing
- Anthropic「Claude Pricing」(2026年10月26日確認) claude.com/pricing
- ChatGPT「Pricing」Codexを含むプラン(2026年10月26日確認) learn.chatgpt.com/docs/pricing
- GitHub「Copilot plans」(2026年10月26日確認) github.com/features/copilot/plans
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最終更新 2026年10月26日