Steamの生成AIゲームは1,000本からどうなった?|開示ルールと2026年の数字
Steamで生成AIの使用を開示するゲームは、2024年の1,000本から2025年末には1万本を超え、2026年10月のNext Festでは約36%になりました。Valveの開示ルールの中身と変更点、プレイヤーとしての見分け方、日本のインディー開発者がSteamに出す前に確かめることをまとめます。

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?この記事はこんな方に
- 「Steam 生成AI ゲーム」で調べて、2024年の「1,000本」がいまどうなったか知りたい方
- Steamでゲームを買うとき、AIが使われているかを自分で確かめたい方
- 個人や小さなチームでSteamにゲームを出そうとしていて、AIの開示が気になっている方
!この記事でわかること
- Steamの生成AI開示ルールが2024年から2026年にかけてどう変わったか
- 開示しているゲームの数と割合(2026年10月までの報道と調査)
- プレイヤーの確かめ方と、開発者が出す前に確かめること

こんにちは、ヒカリです。
2024年5月、私たちは「Steamで生成AIを使ったゲームが1,000本を超えた」というニュースを紹介しました。この記事では、当時なにが報じられたのか、2026年10月までに何が起きたのか、当時の記事は何が当たって何が外れたのかを順番に確かめます。最後に、プレイヤーとして見分ける方法と、開発者としてSteamに出す前に確かめることをお伝えしますね。
2024年に報じられた「Steamの生成AIゲーム1,000本」
きっかけは、ValveがSteamの方針を変えたことでした。2023年6月、AIで作った画像を含むゲームの配信をValveに断られたと、ある開発者が報告して話題になりました。Valveは、AIの学習データには著作権の面で法的な不確かさがあると説明していました。
その方針を変えたのが2024年1月10日です。Valveは開発者向けのお知らせ「Steam上のAIコンテンツについて」で、ゲームを申請するときに記入する「コンテンツアンケート」にAIの開示欄を加えると発表しました。AIの使い方を説明すれば、AIを使ったゲームの「大半がリリース可能になる」という内容です。開示された内容はストアページにも載るようになりました。
それから約3か月後の2024年4月24日、ゲーム業界で長く働いてきた開発者のIchiro Lambe氏が、自社のブログ「Totally Human」で集計を公開しました。Steamのストアページにある開示欄をスクリプトで集めたところ、生成AIの使用を開示しているゲームが1,000本を超えていた、というものです。米Tom's Hardwareが4月26日にこれを報じ、私たちは5月にその内容を紹介しました。
Lambe氏が驚いた点として挙げたのは、数の多さ、大手スタジオの作品にも開示があったこと、そして画像だけでなく音声などにも使われていたことの3つでした。いちばん大きな例として紹介されたのが、Embark Studiosの対戦シューター『The Finals』です。
ヒカリちゃんのまとめ「1,000本」は、Steamの公式発表ではなく、開発者が自分で書いた開示欄を個人が数えた数字です。この点は、いまの数字を読むときにも大事になります。
Steamの生成AIゲームのその後:2026年10月までの年表
開示しているゲームの数は、2024年4月から2025年11月までの1年半あまりで10倍以上になりました。数え方は調べた人によって違うので、出典ごとに並べます。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2023年6月 | AI生成画像を含むゲームの配信を断られたと開発者が報告。Valveは著作権の不確かさを理由に慎重な姿勢を示す。 |
| 2024年1月10日 | Valveが方針を変更。コンテンツアンケートにAIの開示欄を設け、「事前生成」と「ライブ生成」に分けて説明を求める。ライブ生成による成人向けの性的コンテンツは認めない。 |
| 2024年1月 | ストアページに「AI生成コンテンツの開示」の項目が現れ始める。書き方に決まった形式はなかった。 |
| 2024年4月 | Lambe氏の集計で、開示のあるゲームが1,000本を超える。 |
| 2025年2月 | 非公式データベースのSteamDBが、開示のあるゲームを検索結果から外せる絞り込みを追加。当時の対象は4,900本あまり。 |
| 2025年7月 | Totally Humanの集計で約8,000本に。 |
| 2025年10月 | Steam Next Fest(体験版の祭典)の参加2,960本のうち507本(約17%)が開示。用途はゲーム内アートが56%でいちばん多く、宣伝素材、音声、音楽と続いた(TechRaptorの調査をAUTOMATONが紹介)。 |
| 2025年11月 | Totally Humanの集計で1万258本、Steamの全タイトルの約8%に。Epic GamesのTim Sweeney CEOが、ゲームストアでのAI開示は「意味がない」とXに投稿し、議論になる。 |
| 2025年12月 | The Indie Game Awards 2025で年間大賞とデビュー作品賞を受賞した『Clair Obscur: Expedition 33』が、開発で生成AIを使っていたことを理由に受賞を取り消される(主催者が12月20日に理由を発表)。問題視されたテクスチャは、発売後すでに差し替え済みだった。 |
| 2026年1月16日ごろ | Valveが開示欄の説明文を書き換える。開発を効率化するAIツールの使用は対象外とし、アート、サウンド、物語、ローカライズなど、プレイヤーが触れるコンテンツに絞った。開示そのものは残った。 |
| 2026年3月 | Embark Studiosが『ARC Raiders』の一部のAI音声を、声優の収録音声に差し替えたと明かす。 |
| 2026年7月 | 開発者のSulka Haro氏が、2023年7月〜2026年7月に出た約5万3,600本を調べた結果を公開。開示のある新作の割合は2024年10.9%、2025年19.9%、2026年(7月まで)30.8%。 |
| 2026年9月17日 | CESA(コンピュータエンターテインメント協会)が「CESAゲーム産業レポート2026」のプレビュー版を公表。調査に答えた日本のゲーム開発者の85.8%が仕事で生成AIを使っていた。 |
| 2026年10月19〜26日 | Steam Next Fest。SteamDBのデータでは、参加7,145本のうち2,593本(約36%)に開示があった。 |
ヒカリちゃんのまとめ開示のあるゲームは、2024年の1,000本から2025年末には1万本を超え、2026年には新作の3本に1本ほどになりました。ルールは消えずに、「何を書くか」がはっきりした形です。
Steamの生成AI開示ルールはいまどうなっているか
Steamworksのドキュメント(開発者向けの公式説明、2026年10月26日確認)では、コンテンツアンケートの3つ目のパートで生成AIについて尋ねています。冒頭には、多くのゲーム開発環境にAIツールが組み込まれていることは承知している、そうしたツールで作業を効率化すること自体はこの項目の対象ではない、と書かれています。対象は、ゲームに含まれてプレイヤーが触れるコンテンツです。
| 区分 | 中身 | 求められること |
|---|---|---|
| 事前生成 | 開発中にAIツールを使って作り、ゲームに入れて出すもの。アート、サウンド、物語、ローカライズなど。 | どう使ったかを説明する。違法・権利侵害のコンテンツを含まないこと、宣伝素材と中身が一致することを、配信契約で約束する。 |
| ライブ生成 | ゲームの実行中にAIが作るもの。AIが返事をするNPCなど。 | 上と同じルールに加えて、違法なコンテンツを作らせないための対策(ガードレール)を説明する。 |
| 対象外 | コード補助など、開発を効率化するためのAIツール。 | 2026年1月の書き換えで、開示の対象ではないことがはっきりした。 |
Valveは発売前の審査で、AIで作ったコンテンツも、AIを使っていないコンテンツと同じ方法で確かめるとしています。よくある質問のページでは、ライブ生成AIを使う成人向けの性的コンテンツは、いまは配信しないと書かれています。2024年1月の発表では、ライブ生成AIを含むゲームについて、プレイヤーがSteamオーバーレイから違法なコンテンツを報告できる仕組みも案内されました。
開示の内容はストアページの「AI生成コンテンツの開示」という項目に載ります。報道によると、宣伝素材に生成AIを使ったかどうかもここで確かめられます。
ヒカリちゃんのまとめ書く必要があるのは、プレイヤーが目にしたり耳にしたりするものにAIを使ったときです。開発の手間を減らすための道具は、2026年1月から対象外とはっきり書かれました。
2024年の記事の答え合わせ
2024年5月の記事で書いたことを、いまの情報と照らし合わせます。
| 当時書いたこと | いま振り返ると | 判定 |
|---|---|---|
| Steamには1,000個を超える生成AIを活用したゲームがある | Lambe氏の集計どおり。その後2025年11月には1万258本に増えた。 | 当時は正確 |
| AIによってゲームが生成され、誰もが自在にゲームを生み出せる時代が来た | 開示の多くは、背景やアイコンなど一部の素材にAIを使ったという内容。Haro氏の調査では、プレイヤーの操作に応じてAIが中身を作る「AIが前提のゲーム」はごく一部だった。 | 外れ |
| 生成AIの使用を明示し、違法行為や著作権問題のないことを確認する審査を通過する必要がある | 開示と審査は必要。ただ、Valveは「AIを使っていないコンテンツと同じ方法で審査する」としており、権利の確認は開発者の約束に頼る部分が大きい。開示は自己申告。 | 半分当たり |
| 『The Finals』は、AIがプレイ中の場面を認識してリアルタイムに解説を生成する | 開発元の開示は、実況役の2人の声を音声合成(テキスト読み上げ)で作ったというもの。場面を見てAIが解説を作るとは書かれていなかった。 | 外れ |
| 大手スタジオも小規模な開発者も生成AIを使っている | 『Call of Duty: Black Ops 6』『inZOI』『Stellaris』なども開示している。日本でも、CESAの調査に答えた開発者の85.8%が仕事で生成AIを使っていた。 | 当たり |
| 画像だけでなく、さまざまな分野で使われている | 音声、音楽、翻訳にも広がった。ただし、いちばん多いのはいまも画像。 | 半分当たり |
| ツールが進化し、この傾向は続く | 2026年10月のNext Festでは約36%に開示があった。 | 当たり |
いちばんの見落としは、プレイヤーがどう受け止めるかを書かなかったことです。
当時の記事は「ゲーム作りがもっと自由になる」という明るい見通しで終えていました。その後に起きたのは、AIを使ったことが分かったときの反発です。『ARC Raiders』は一部のAI音声を声優の声に差し替え、『Clair Obscur: Expedition 33』はインディーゲームの賞で失格になりました。権利の面でも、学習データや声優の仕事をめぐる懸念に、当時の記事は触れていませんでした。
ヒカリちゃんのまとめ数が増えるという見通しは当たりましたが、The Finalsの説明は誤りでした。抜けていたのは、プレイヤーの受け止め方と権利の視点です。
Steamで生成AIゲームを見分けるには:プレイヤー向け
プレイヤーの受け止め方は分かれています。市場調査会社GameDiscoverCoが2026年6月25日〜7月2日に約3,800人のSteamプレイヤーに聞いた調査では、開示のあるゲームを買うことに大きな抵抗はないと答えた人が43%、どちらでもないが26%、否定的が31%でした。開示があることを理由に買わないと答えた人は8%です。一方で、開発者がAIの使用をすべて開示していると思う人は17%にとどまりました。
米ノースイースタン大学の研究者が2026年8月に公開した論文では、開示のあるゲーム5,970本のレビューを調べています。否定的なレビューは、品質の低さへの指摘、AIを使うこと自体への反対、開示が不十分なことへの不信に分かれていました。一方で、AIでNPCと会話できるなど、新しい遊びにつながる使い方は好意的に受け止められていたといいます。
- ストアページの「AI生成コンテンツの開示」を読む。開示があるかどうかだけでなく、何に使ったか(背景、アイコン、音声、翻訳、宣伝画像など)を確かめる。
- 体験版とレビューで中身を確かめる。Next Festの時期は体験版が多く出ます。AIへの言及があるレビューは、品質への指摘か、使ったこと自体への反対かを分けて読むと判断しやすくなります。
- まとめて外したいときは、非公式のSteamDBを使う。2026年10月時点で、Steam本体には開示のあるゲームを外す絞り込みはありません。SteamDBの「AI Content Disclosed」タグで外せますが、開示していないゲームは外れません。
- ゲーム中にAIが作った問題のある表現を見たら報告する。ライブ生成AIを使うゲームでは、Steamオーバーレイから報告できると案内されています。
ヒカリちゃんのまとめまずは開示欄を読んで、何にAIを使ったのかを確かめてみてください。開示は自己申告なので、体験版やレビューとあわせて判断すると安心です。
Steamに出す前に確かめること:日本のインディー開発者向け
Steamでゲームを出すには、1作品ごとに100ドル相当のSteam Direct料金がかかります(Steamworksのドキュメント、2026年10月26日確認)。料金は戻りませんが、売上が1,000ドルを超えると回収できます。AIを使ったゲームでも、出せるかどうかの条件は変わりません。分かれ目は、開示をどう書くかと、権利の確認です。
- 素材ごとにAIの使い方を書き出す。立ち絵、背景、アイコン、BGM、効果音、音声、テキスト、翻訳、ストアの画像や動画。どれにAIを使い、人がどこまで手を入れたかを一覧にします。コード補助だけなら開示の対象ではありません。
- 開示は具体的に書く。Haro氏の調査では、レビューが多く集まったゲームの開示文は中央値22語、伸びなかったゲームは13語でした。売れた理由が開示文だとは言えませんが、「どの素材に、どの程度」を書いている例が多いのは参考になります。
- 出したあとに慌てて足さない。同じ調査では、売上の大きいAI開示ゲームの22%が、発売後に開示を足していました。第三者に指摘されてからでは、隠していたこと自体が批判されます。
- 権利を先に確かめる。文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)では、AIで作ったものが既存の作品に似ていて、それをもとにしたと認められれば、通常の著作権侵害と同じように扱われるという整理です。既存のキャラクター名や作家名を指示に入れない、使うAIサービスの利用規約で商用利用の条件を確かめる、の2つは必ず行います。
- AIがプレイ中に答えるなら、対策を決めておく。ライブ生成では、違法な出力を防ぐガードレールの説明が求められます。成人向けの性的コンテンツは配信できません。
CESAの調査で、生成AIを使うときの対策としていちばん多く挙がったのは、人による確認と修正でした。画像や音楽を作るAIの使い方と権利の注意点は、ChatGPTの画像生成やSunoとUdioの使い方の記事でもまとめています。
ヒカリちゃんのまとめAIを使ったかどうかより、何にどう使い、どう確かめたかを正直に具体的に書くことが大切です。権利の確認は、申請の前に済ませておいてくださいね。
Steamの生成AIゲームについてよくある質問
生成AIを使ったゲームは、Steamで売ってもいいのですか?
売れます。2024年1月から、コンテンツアンケートでAIの使い方を開示すれば、大半のゲームが配信できるようになりました。ただし、違法・権利侵害のコンテンツを含まないことが条件で、ライブ生成AIによる成人向けの性的コンテンツは認められていません。
コード補助のAIを使っただけでも、開示が必要ですか?
2026年1月の書き換えで、開発を効率化するAIツールの使用は開示の対象ではないと明記されました。対象は、アートやサウンド、物語、ローカライズなど、プレイヤーが触れるコンテンツです。
AIを使ったゲームを、Steamの検索から外せますか?
2026年10月時点で、Steam本体にその機能はありません。非公式のSteamDBでは、開示のあるゲームを外して表示できます。開示していないゲームは外れない点に注意してください。
2024年の「1,000本」は、いま何本になっていますか?
Valveは総数を公表していません。Totally Humanの集計では2025年11月に1万258本で、Steam全体の約8%でした。新作に限ると、2026年は7月までに出たゲームの30.8%に開示がありました(Sulka Haro氏の調査)。
SOURCES
- Totally Human Media「The Surprising Number of Steam Games that Use GenAI」(2024年4月24日) totallyhuman.io
- Tom's Hardware(2024年4月26日) tomshardware.com
- Steamworks ドキュメント「コンテンツアンケート」(2026年10月26日確認) partner.steamgames.com/doc/gettingstarted/contentsurvey
- Steamworks ドキュメント「Steam Direct料金」(2026年10月26日確認) partner.steamgames.com/doc/gettingstarted/appfee
- AUTOMATON(2024年1月10日) automaton-media.com/articles/newsjp/20240110-278495
- AUTOMATON(2024年1月22日) automaton-media.com/articles/newsjp/20240122-279719
- VGC「SteamDB now lets players filter out games that use generative AI」(2025年2月25日) videogameschronicle.com
- AUTOMATON(2025年11月11日) automaton-media.com/articles/newsjp/steam-ai-20251111-365557
- AUTOMATON(2025年11月29日) automaton-media.com/articles/newsjp/epic-games-steam-generative-ai-20251129-369013
- AUTOMATON(2025年12月21日) automaton-media.com/articles/newsjp/clair-obscur-expedition-33-genai-20251221-383841
- AUTOMATON(2025年12月23日) automaton-media.com/articles/newsjp/steam-20251223-387326
- AUTOMATON(2026年1月17日) automaton-media.com/articles/newsjp/steam-ai-20260117-407801
- Gadget Gate(2026年3月16日) gadget.phileweb.com
- Sulka Haro「Three years of AI on Steam」(2026年7月13日) fragwyz.substack.com
- PC Gamer「Steam Week in Review」(2026年7月20日) pcgamer.com
- PC Guide(2026年7月9日、GameDiscoverCoの調査) pcguide.com
- AUTOMATON(2026年8月15日、ノースイースタン大学の研究) automaton-media.com/articles/newsjp/20260815-460351
- PC Guide(2026年9月17日、CESAゲーム産業レポート2026 プレビュー版) pcguide.com
- PC Guide(2026年10月20日、Steam Next Fest) pcguide.com
- Push Square(2026年10月20日) pushsquare.com
- 文化庁「AIと著作権について」(2026年10月26日確認) bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html
「HowtoAI」は、2024年から multifverse.com で続けてきたAI活用の解説シリーズです。社名があたたかいデジタル(ATATAKAI Digital)に変わったことにともない、2026年10月からはこのブログの一つのカテゴリーとして続けていきます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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最終更新 2026年10月26日